経済の死角

住友商事「2400億円」、丸紅「1200億円」の減損 好調だったはずの大手商社が「大失敗」、潮目は変わった

全国民必読 日本経済「異変とこれから」【第4部】

2015年02月20日(金) 週刊現代
週刊現代
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優勝劣敗が鮮明に

巨大商社の業績悪化、シャープの赤字転落、マクドナルドの苦境……。アベノミクスは大企業に恩恵があるのではなかったのか。岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏と、セゾン投信社長の中野晴啓氏が日本企業の異変を読み解く。

石黒 6大商社の一角を占める丸紅が原油・ガス開発などに絡んで1200億円の減損損失に追い込まれ、住友商事もシェール・オイル開発の失敗で2400億円の巨額減損処理をした。絶好調と言われていた商社が曲がり角に立っています。

中野 資源分野は商社の稼ぎ頭ですが、原油価格下落に足を滑らせている。三菱商事、三井物産も減損を余儀なくされました。

石黒 私が気になったのは、丸紅が'13年に約2700億円をかけて買収した米国の穀物メジャー・ガビロンに関しても減損をしたこと。資源以外の大型投資案件もうまくいっていないことが明らかになったわけです。大手商社は資源バブルに沸いた'06年頃の活況をもう謳歌できないでしょう。

中野 当時はなにをやってもうまくいくような時代でしたが、いまは厳しい事業の選別が求められる時代だとも言い換えられますね。

石黒 はい。商社の経営陣が資源の「次」の大きな絵を描けていないのが問題です。大手商社のPER(株価収益率)は低水準で、これはマーケットが商社を成長産業と見なしていないということ。最近、伊藤忠商事が中国最大の国有企業・中国中信へ6000億円出資すると発表しましたが、その日、伊藤忠の株価は下落した。この投資の成否を見極めるのは時期尚早ですが、投資家は懐疑的です。

中野 ただ、私は長い目で見れば商社には期待感を持っています。「世界の投資銀行」と言えるほどにグローバルにリスクを取っていて、それぞれの現場で新しいビジネスを掘り当てる能力は高い。現場で一人一人の社員が鍛えられるので、組織も強靭です。大手6社のうち半分くらいは輝き続けられると思います。今回の商社ショックは、変化の速い時代にどれだけ勇気を持ってビジネスモデルを転換できるかという問題を突きつけているのでしょう。

石黒 商社業界以外でも、潮目の変化を感じさせる事象が目立ってきました。たとえば最近シャープの経営が急降下して話題になりましたが、当然の帰結でしょう。シャープは液晶で失敗したのにまた液晶に経営資源をつぎ込んで、価格競争に巻き込まれたわけです。一方で、同じくテレビで失敗したパナソニックはシェアを取れる車載用部品などに事業転換して成功している。きちんと利益を出せる事業をいかに構築するかがシビアに求められる時代です。

中野 マクドナルドの凋落も象徴的な出来事です。コンビニからファミレス、大戸屋などの定食屋まで客の選択肢が増える中にあって、マックは新しい価値を打ち出せていない。過去の成功体験にとらわれているのが最大の敗因でしょう。デフレからインフレに変わろうとする転換期にあっては、値下げをしないで稼ぐというのがポイントです。

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