現代新書カフェ
2015年02月17日(火) 瀬木比呂志

元エリート裁判官が衝撃の告発! 政治家の圧力に屈して名誉毀損訴訟の認定基準を変更した最高裁判所は「最低裁判所」だ! 

『ニッポンの裁判』著者 瀬木比呂志・明治大学法科大学院教授

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最高裁事務総局民事局付、最高裁調査官経験のある元裁判官の瀬木比呂志氏(明治大学法科大学院教授)により上梓された『ニッポンの裁判』(講談社現代新書、2015年1月16日刊行)が政界ならびに言論界で波乱を呼んでいる。同書には、裁判をコントロールする最高裁裁判所事務総局による裁判官の言論統制のさまざまな手口が克明に綴られているが、瀬木氏は、その中で、2001年に最高裁事務総局によって行われた名誉毀損訴訟の事実上の基準変更が、当時の自公政権の圧力を受けて行われたことを告発したのである。

それまでの名誉毀損訴訟は、原告泣かせの訴訟と呼ばれ、立証も原告側に厳しく、勝訴しても損害賠償額の認容額は100万円以下の場合が大半を占めていた。ところが、2001年の『判例タイムズ』(同年5月15日号)に、名誉毀損訴訟の損害認定額が低すぎるのでないかという元裁判官の論文が突然掲載されたことに始まり、司法研修所で行われた御用研究会、それに基づく御用論文によって、名誉毀損訴訟の賠償認容額が突如として一気に跳ね上がり、また、立証面でも報道機関に厳しい判決が相次ぐようになる。

象徴的なのは、日本相撲協会と横綱朝青龍席ら力士30人が週刊現代の発行元である講談社に対して約6億2000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、講談社側に合計4290万円の支払いと「当該記事そのものの取消し広告の掲載」まで命じる判決を下した。2004年には同年3月25日号の週刊文春に掲載された「田中真紀子前外相の長女の私生活」をめぐる記事を巡って、長女側が同誌の出版を禁止する仮処分を求めたところ、東京地裁はあっさりとこれを認めるという前代未聞の事態が起きた。

週刊誌を中心とするメディアに対する締め付けはその後も続き、政財界のスキャンダルを追及する記事はめっきり減ってしまった。

『ニッポンの裁判』の著者 瀬木比呂志氏は、最高裁判所中枢を知る元エリート裁判官であるのみならず、民事保全法や民事訴訟法のエキスパートとして法曹界で高い評価を得ている。このような信頼できる専門家による、横断的な判例分析は過去に例がない

瀬木氏は、週刊誌メディアの「牙」を抜くことなった、名誉毀損をめぐる基準変更は、現場裁判官たちの自主的な判断に基づくものではなく、当時の自公政権の突き上げを受けた裁判所当局による圧力に基づくものだったと暴露したのだ。『ニッポンの裁判』のこの告発は、有力ネットメディア「ビジネスジャーナル」によって広く報じられ、そこから配信されたYahoo!ニュースだけでも、3500のFacebookでシェアされ、また、国会議員の間でも、国会で本問題を取り上げようという機運が高まっている。

与党政権にあっさりと屈した最高裁の屈辱的ともいえる名誉毀損の基準変更はどのようにして行われたのか? 『ニッポンの裁判』の著者 瀬木比呂志氏に緊急インタビューした。

Q:『ニッポンの裁判』第4章の中で書かれた、最高裁事務総局による名誉毀訴訟対応をめぐる思想統制の記述が話題になっています。三権分立によって、行政府や立法機関の暴走を食い止める立場にある最高裁判所が、政治家の突き上げ、圧力にあっさりと屈していたことを知り、今更ながら驚いています。しかし、こうした重大な指摘は、これまでほとんど行われたことがありませんでした。驚天動地の告発でした。

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