伊藤博敏「ニュースの深層」
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JR九州上場時に「財務省へ3900億円を返還せず」を実現させた麻生兄弟と大物次官の剛腕

2015年02月12日(木) 伊藤 博敏
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麻生財務大臣の弟は九州経済連合会会長   photo Getty Images

3900億円を国に返還しないJR九州

「財務省も情けない。ひと昔前なら、絶対に返還させていたのに、“親分”の大臣まで説得できないなんて……」

こう嘆くのは、「官庁のなかの官庁」として君臨してきた「大蔵省時代」を生きた元財務官僚である。

放棄するのは、JR九州に交付していた約3900億円の経営安定化基金。1987年の分割民営化の際、赤字ローカル線を補助するために、「三島会社」と呼ばれた北海道、四国、九州の3社に、「運用益で赤字を補填するように」と、各社に経営安定化基金という名の“手切れ金”が渡された。

その「三島会社」の先陣を切って、1月末、JR九州が上場することが決まった。当然、国から莫大な埋蔵金を受けたまま上場はできない。他の鉄道会社との競争環境に歪みが生じる。従って、「国庫への返還」が上場の条件で、財務省もそう主張していた。

だが、原則はアッサリと覆った。

上場発表後、麻生太郎財務相は、3900億円を国に返還することなく、取り崩して債務返済に当てられることになった理由を問われ、こう答えた。

「債務返済によってJR九州の経営が安定、経営内容が良くなって上場すれば、売り出し価格が上がり、国に納付されるお金が増えます。そういう具合に、うまく回ればいいなということです」

理屈はそうだが、原則を崩せば、誰もが補助金や交付金を返さなくなる。後付けの理屈はいくらでもつく。それを財務大臣自ら容認しているのだから、弱体化の証明である。

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