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〔PHOTO〕gettyimages

対ユーロ上限撤廃でスイスフランが高騰したのは当然

1月15日に、スイス国立銀行(スイスの中央銀行、以下、SNB)は、対ユーロでのスイスフランの上限(1ユーロ=1.20スイスフラン)を撤廃すると発表した。これによって、スイスフランレートは急騰、いくつかの金融機関がトレーディング等で巨額の損失を被った模様だ。ただ、現段階では、これをきっかけとして金融危機が発生するような兆候はなく、マーケットは平静を取り戻しつつある。

SNBによるスイスフランの対ユーロでの上限は2011年9月に設定された。そのきっかけは、ユーロ危機に際して、スイスフランが、欧米投資家を中心に逃避通貨(Safety Heaven)として選好されたためであった。それ以降、スイスフランは対ユーロレートでは「上限設定」近傍で安定的に推移してきた。そのため、この「上限」は機能してきたといえる。

その間、ユーロ圏経済はデフレ危機に直面しており、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和期待によって、ユーロはスイスフラン以外の主要な他通貨に対しては下落トレンドで推移している。そして、この22日には、ついにECBも量的緩和(QE)政策に踏み出す可能性が高まっている。ECBによる量的緩和導入期待によってユーロにますます下落圧力がかかっているが、その中で安定的に推移してきたスイスフランが対ユーロでの上限撤廃したことで、他通貨に歩調を合わせるべく、急激に上昇したのは当然といえば当然の帰結である。

実は、筆者は、1月8日の当コラム「講座 ビジネスに役立つ世界経済 第72回 未年にちなんだ5つのキーワードで世界経済を占う」の中で、2015年の世界経済におけるキーワード(不安定要因)の1番目としてスイスの金融政策を取り上げていた。

まさか、1月15日の事態を予想していた訳ではないが、金融大国であるスイスの金融政策がスイスフランレートの予想外の変動によって世界経済の波乱要因になるリスクは意識していたので、未年にちなんだ5つのキーワード「SHEEP」の「S」としてスイスの金融政策を指摘した。

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