牧野 洋の「メディア批評」
2015年01月16日(金) 牧野 洋

シャルリー・エブドの風刺画をめぐる対応で出遅れた日本のメディア

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1月13日、シャルリー・エブドの新編集長(左)、風刺漫画家(中央)、コラムニスト(右)らが会見を開き、襲撃事件と特別号の表紙に使われるムハンマドの風刺画について語った 〔PHOTO〕gettyimages

特別号の風刺画には第一級のニュース価値がある

イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を描き、過激派から襲撃を受けた仏週刊新聞「シャルリー・エブド」。日本の全国紙読者の中では「肝心の風刺画がなぜ紙面上に載っていないのだろう」と思っている人も多いのではないか。

シャルリー・エブドは襲撃からちょうど1週間の1月14日に特別号を発売し、表紙に再びムハンマドの風刺画を掲載した。特別号は同日午前中に売り切れ、新聞としてはフランス史上最多の500万部発行されることが決まった。

表紙には「すべては許される」という見出しの下で、涙を流しながら「私はシャルリー」というメッセージを手にするムハンマドが描かれている。「私はシャルリー」とは襲撃後に支援者の間で使われるようになった合言葉であり、シャルリー・エブドへの連帯を示している。

特別号の風刺画は世界中で注目を集めており、具体的に何が描かれているのか実物を見たい人は多いだろう。風刺画は見る人によってさまざまな解釈が可能であるだけに、なおさらだ。つまり第一級のニュース価値があるということだ。

だが、日本の全国紙5紙のうち読売、朝日、毎日、産経(産経は九州・山口特別版、ほかは西部本社版)を読んでいる人は何も分からない。少なくとも15日時点までは、一斉にムハンマドの風刺画掲載を見送っているからだ(産経東京版と日経は14日付朝刊中面で掲載)。

戦う前からテロに屈して白旗を揚げてしまったのか? 特定の宗教を侮辱するような表現を避けたかったのか? 遠い欧州で起きた事件だからあえてリスクを取る必要はないと判断したのか? 

読者を第一に考えるならば、掲載しない理由を少なくとも紙面上できちんと説明すべきだろう。結論から言えば、読売は読者への説明責任を果たしていない。

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