毎日フォーラム~毎日新聞社

起業経費も特別交付税対象に
地域おこし協力隊の支援拡充今年度から[地方創生]

2015年01月23日(金) 万年野党事務局
毎日フォーラム
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総務省は、都市部から田舎に移り住み農業や住民の生活支援などに携わる「地域おこし協力隊」について、起業に掛かる経費も特別交付税による自治体への財政支援の対象にすることを決め、このほど都道府県に通知した。「地方創生」に向けて地域おこし協力隊員の地道な活動が注目されている。一方、隊員は任期終了後も移住先とその周辺に住み続ける人が少なくないが、その後の生活設計が大きな課題になっている。支援の拡充が定住促進と地域活性化につながることが期待される。

地域おこし協力隊制度は2009年度に発足した。実施主体は自治体で、隊員は自治体首長が委嘱するが、身分は自治体の嘱託職員であったり、地元の農業法人や団体の職員や全くのフリーの立場であってもいいという柔軟な仕組みだ。ただ、おおむね都市部に住んでいる人で転入先の自治体に住民票を移し名実ともに「住民」になることが求められている。

期待される任務や活動内容は、自治体の要求や隊員の希望、技能などによってさまざまだ。地域ブランドや地場産品の開発・販売、そのPR活動、農林水産業への従事、お年寄りの生活支援など、地域活動全般に及んでいる。

任期は概ね1年以上3年以下となっている。隊員には報償費200万円に加えて、その他の経費として200万円の年間400万円を上限に支給されている。その他の経費には、活動の旅費や打ち合わせなどの事務的経費、作業道具類など消耗品、定住に向けた研修費などが認められている。自治体負担になるこれらの経費はすべて国からの特別交付税の対象になるうえ、自治体は都市部で開く説明会など隊員募集に関する経費も200万円まで交付され、受け入れ自治体としては少なくても財政的負担が基本的にないというありがたい制度になっている。

さらに総務省は今回の改正で、隊員の任期終了後の起業を後押しするために、最終年度か任期終了翌年度に起業する場合に、その経費を1人当たり100万円を上限に特別交付税で措置することにした。必要経費は、設備・備品費や土地・建物賃借費、法人登記・知的財産登録などの経費からマーケティングや技術指導受け入れなどに関する費用が認められる。新たな措置は今年度から導入する。

地域おこし協力隊は、公的支援で都市部の人材を地方に移動させるという画期的な試みで、受け入れる自治体と地域、田舎で新たな人生経験を積みたい隊員それぞれに「三方よし」の構図になっており、地域活性化や地方再生の諸政策の中で最も成功している制度といわれる。政府は昨年6月にまとめた成長戦略「日本再興戦略」で地域活性化策として「『地域おこし協力隊』等の取り組みも含め、地域資源ブランド化を推進できる人材の発掘・派遣・育成を進める」と明記している。

隊員の数は制度が始まった09年度の89人(団体数31)からほぼ毎年1・5倍のペースで増えており13年度は978人(同318)と11倍近くに増加。14年度は千数百人になる見込みだ。安倍晋三首相は「3年間で3倍の3000人にする」と総務相に指示しており、地方創生の目玉の一つだ。

総務省が行った隊員の任期終了後の動向に関するアンケートによると、回答者366人のうち174人(48%)が活動地と同じ市町村に定住し、近隣市町村の30人(8%)を含めると6割弱の人が同一地域に定住している。さらに定住者(174人)のうち、就業92人(53%)、就農46人(26%)のほかに、起業が16人(9%)いた。起業は、株式会社や一般社団会社、NPO法人、農業法人の設立や飲食店・カフェ経営、経営コンサルタントなどがいた。

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