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3年で富士山 は噴火する そのときに備えたほうがいい
週刊現代 プロフィール

●浜岡原発は止まっていても危ない
●飛行機、新幹線、高速道路は完全ストップ
●日本は中央で分断される
●3週間前に噴火は予知される
●半径100km圏内に黒い雨が降る

 富士山大噴火、その現実的な危機から、日本人は目を背けてきた。震災以上の被害をもたらすこの大災害を直視することなくして、日本の明日はないということに、早く気づかねばならない。

溶岩は誰も止められない

〈地震が起こって、雷鳴が聞こえた。家の外に出てみると、まるで雪が降っているようだったが、よく見るとそれは灰であった。西南の方を見てみると、黒い雲が発生して、雷が光っている。白い灰が大地を埋め尽くし、草木もみな白くなっている。昼なのにとても暗く、明かりをともさねばならないほどだ〉

 1707年、後に「宝永の大噴火」と呼ばれる富士山の噴火を江戸から見ていた新井白石は、自叙伝『折りたく柴の記』にて、そのときの様子をこのように記している。

 日本の象徴たる富士の山からマグマが吹き上がり、約100kmも離れた江戸が火山灰で覆い尽くされる。まさに悪夢のような光景だっただろう。

 その悪夢が、再び現実となる日が近づいている。富士山はまもなく噴火する—。火山調査に携わる多くの研究者らが、口々にそう警告しはじめたのだ。

 長年にわたって富士山の調査を続けてきた、琉球大学名誉教授の木村政昭氏は「3年以内には富士山が噴火する」と断言する。

「火山の噴火は、その周辺で小さな地震活動が頻発した時期から、35年プラスマイナス4年後に発生しています。富士山周辺の場合、噴火の兆候を示す地震が、1976年に頻繁に発生しました。そこから考えると、35年後の2011年からプラスマイナス4年のうちに富士山が噴火する可能性が高いと考えています。

 さらに、東日本大震災の影響で、富士山や浅間山など、房総沖に近い火山は強い圧力を受けています。この圧力が富士山内のマグマを押し上げるおそれがあり、噴火の危険性はますます高まっている。つまり、いまがもっとも危険な時期。2015年までには噴火が起こるのではないかと予測しています」

 できれば信じたくない話である。だが今年6月、静岡・山梨・神奈川の3県が、「富士山火山防災対策協議会」を発足させ、広域での避難計画作成に着手したように、富士山の噴火を「いまそこにある危機」と捉えなければならないのだ。

「西暦500年以降の歴史を見ると、過去2回、富士山の活動期があった。そして宝永の噴火から200年以上の噦沈黙期器を経て、いま富士山は第3の活動期に入っているのです」(木村氏)

 では、富士山が噴火した場合、いったいどのぐらいの規模の被害が発生するのか。以下、最悪の事態を想定した上で、少しでも被害を軽減する方法を考えたい。

 まず、溶岩による被害が考えられる。

 900度を超える溶岩は、人間が歩く程度のスピードで噴火口からドロドロと流れ出す。1週間ほど流れ続けると、溶岩は富士宮市に達することになる。平安時代に起きた貞観大噴火では、数ヵ月ほど溶岩が流れ続けたと見られているが、もしこの規模の溶岩流が発生すれば、富士山の南に位置する東名高速道路、さらには東海道新幹線にまで溶岩流が達する可能性がある。日本の大動脈である東名高速・東海道新幹線が溶岩に呑み込まれれば、日本は文字通り東西に「分断」されてしまうことになるのだ。

 千葉大学の津久井雅志教授は、溶岩だけでなく、最悪の場合噦山体崩壊器が起こるケースも想定しておく必要がある、と指摘する。

「山体崩壊とは、噴火にともなって山の3分の1から4分の1が崩れることです。約2900年前に富士山で起こった岩屑なだれのときには、今の御殿場の市街地あたりを呑み込み、三島周辺まで土砂や岩石が流れ込みました」

 山体崩壊が起こった場合、土砂や岩石が流れるスピードは時速100kmにも達することがあるという。

「直径数百mもあるような岩塊が高速で落下してくる。崩れはじめてから逃げるのでは遅いのです。もし今、過去と同じ規模の山体崩壊が起これば、富士山周辺の自治体に10万人単位で被害がでるおそれがあります」(津久井教授)

 悲惨な話だが、富士山周辺の自治体は溶岩流と山体崩壊によって壊滅的な被害を受けるのだ。

 直接的な被害だけではない。浅間山や駒ヶ岳も噴火による山体崩壊で大きく姿を変えたが、もし富士山が、山体崩壊によって見るも無残な姿に変わったとしたら、日本人は「心の支え」を失ったような、絶望的な気分を味わうのではないだろうか。

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