3年で富士山 は噴火する そのときに備えたほうがいい

2012年09月01日(土) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 では、富士山が噴火した場合、いったいどのぐらいの規模の被害が発生するのか。以下、最悪の事態を想定した上で、少しでも被害を軽減する方法を考えたい。

 まず、溶岩による被害が考えられる。

 900度を超える溶岩は、人間が歩く程度のスピードで噴火口からドロドロと流れ出す。1週間ほど流れ続けると、溶岩は富士宮市に達することになる。平安時代に起きた貞観大噴火では、数ヵ月ほど溶岩が流れ続けたと見られているが、もしこの規模の溶岩流が発生すれば、富士山の南に位置する東名高速道路、さらには東海道新幹線にまで溶岩流が達する可能性がある。日本の大動脈である東名高速・東海道新幹線が溶岩に呑み込まれれば、日本は文字通り東西に「分断」されてしまうことになるのだ。

 千葉大学の津久井雅志教授は、溶岩だけでなく、最悪の場合噦山体崩壊器が起こるケースも想定しておく必要がある、と指摘する。

「山体崩壊とは、噴火にともなって山の3分の1から4分の1が崩れることです。約2900年前に富士山で起こった岩屑なだれのときには、今の御殿場の市街地あたりを呑み込み、三島周辺まで土砂や岩石が流れ込みました」

 山体崩壊が起こった場合、土砂や岩石が流れるスピードは時速100kmにも達することがあるという。

「直径数百mもあるような岩塊が高速で落下してくる。崩れはじめてから逃げるのでは遅いのです。もし今、過去と同じ規模の山体崩壊が起これば、富士山周辺の自治体に10万人単位で被害がでるおそれがあります」(津久井教授)

 悲惨な話だが、富士山周辺の自治体は溶岩流と山体崩壊によって壊滅的な被害を受けるのだ。

 直接的な被害だけではない。浅間山や駒ヶ岳も噴火による山体崩壊で大きく姿を変えたが、もし富士山が、山体崩壊によって見るも無残な姿に変わったとしたら、日本人は「心の支え」を失ったような、絶望的な気分を味わうのではないだろうか。

実はかなりヤバイ火山灰

 溶岩流は、首都圏までは届かない。では、首都圏は安全かと言えばそうではない。噴火後にまき散らされる火山灰が、首都圏を大混乱に陥れる。立命館大学歴史都市防災研究センターの高橋学教授が説明する。

「噴火によるもっとも大きな被害は、火山灰によってもたらされます。『灰』といっても、ゴミを焼却したときにでるような灰ではなく、マグマが粉砕され微粒子となった、いわば薄いガラスの破片です。眼に入れば角膜を、鼻に入れば粘膜を傷つけるおそれがあるし、体内に入れば肺などに傷ができたりする。非常にやっかいなものです」

 宝永大噴火では、約7億m3、東京ドーム560杯分の火山灰が放出され、偏西風に乗って東へ東へと流れ、数週間にわたって降り注いだ。

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