シリーズ 2020年の世界から見た2012年の日本6 ~日本人が見落としている日本のソフト・パワー~

2012年06月28日(木)
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 他方で、経済産業省が後押しする"クール・ジャパン"はつい先日も省庁版事業仕分けの対象に上がるなど、必ずしも高い評価を得ているとはいえない。

 明治維新。日本は数千人規模の「お雇い外国人」を受け入れ、学術、建築・土木・交通、医学、法律などの分野で「西欧の目線」を飛躍的に学んだことはよく知られている。それから150年余り、一度は世界を極めたあらゆる産業で"ガラパゴス化"が進んでしまった今、「日本という国の再発見」を外からの視点で行ってみる必要があるのではないだろうか。

 ITに代表され「ネットワークの外部性」が機能する領域ではガラパゴス化は命取りだが、サービスや文化はガラパゴス化しているがゆえに、世界に冠たる希少性が評価されるかもしれない。そこには冒頭で紹介した渋谷スクランブル交差点や高速通過する新幹線、ミシュランの例など、日本人が気付いていない"ソフト・パワーの源泉"があるはずだ。

 「お雇い外国人」に期待されるのはソフト・パワー再発見に限らない。例えば、国家公務員への外国人の登用、民間企業における外国人の採用も日本の強みの再発見につながるだろう。

 2012年5月にBBCが発表した「世界にいい影響を与えている国」の第1位は日本であり、世界から見た好感度は高く、ソフト・パワーを梃子にした我が国産業のグローバル展開のチャンスは残っている。人口減が始まった今こそ、「いかにソフト・パワー戦略を推進していくか」が、2020年の国家レベルの勝敗を分けることになるだろう。

 

なかつか わたる
A.T.カーニー株式会社アソシエイト。慶應義塾大学総合政策学部卒。大手レジャー・エンターテイメント企業を経て、A.T.カーニー入社。政府系機関、ハイテク、通信、自動車、サービス、メディアなどにおける成長戦略、新規事業戦略を中心としたプロジェクトに従事。

 

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