シリーズ 2020年の世界から見た2012年の日本6 ~日本人が見落としている日本のソフト・パワー~

2012年06月28日(木)
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 これまでは、海外に住む華人が中国伝統文化の橋渡し役になってきた側面が強いが、低い人件費に頼った輸出産業が曲がり角を迎える中で、外資コンテンツを排除し、強固な自国コンテンツを作り上げ、アジアに浸透させ、製造業を中心とした自国輸出産業の転換・再起を狙っているものと思われる。

 もう少し細かく見てみよう。中国は"新・旧"両方の自国コンテンツの育成・訴求・外貨獲得を徹底して進めている。

 具体的に言うと、"新・自国コンテンツ"の育成という観点では、日本コンテンツの流入を「プロダクション(≒制作会社)」としてのみ許可し、日本から見て収益化の柱である玩具メーカー、ライツコントロール機能のある日本の出版社やテレビ局の流入は規制している。共同制作も出来ない状況だ。

 国として映像やアニメーションの技術を吸い上げようとする試みは奏功しつつあり、まだまだ日本のプロダクションの技巧には及ばないものの、1,000以上存在する現地プロダクションは絵コンテさえあればそれなりに精緻なアニメーション制作が可能な水準だという。 また、皮肉にも日本のアニメ雑誌の流通が、書き手増大(原作を作りだす機能)を後押ししつつある状況だ。

 "旧来からのコンテンツ"の訴求にも抜かりはない。2004年頃より「孔子学院」という教育機関を海外大学などと提携し展開している。中国語や中国文化の教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的に設立しており、日本では立命館大学や早稲田大学等10以上の大学に設置している。

 20才前後の将来有望な学生に対し、伝統ある中国文化や言語に親しみを覚えてもらう、という仕組みが既に動きはじめている。有名な英国のブリティッシュ・カウンシルと同様の考え方だ。2020年頃にアジアコンテンツ市場を席巻している可能性は十分にありえる。

日本のソフト・パワー戦略再考

 翻って、日本発のソフト・パワーとは何か。「クール・ジャパン」と聞くと、ドラゴンボールやポケモン、コスプレに代表されるようなマンガやアニメなどの"いわゆるコンテンツ産業"を想像するかもしれない。また、冒頭で紹介したように、「富士山や寿司、天ぷら、着物」のような日本発祥の文化こそ外国人にうけるのではと思う日本人が多いのが現実だ。しかし、日本のソフト・パワーはもっと幅広い。

 例えば、ミシュランガイドに格付けされているレストラン数は東京で260、京都で240を超え、パリ(同64)やニューヨーク(同57)を圧倒する(次ページ図表4参照)。また、原宿系など独自の着こなし方を提案する日本の女性向けファッション誌は中国やタイ等アジアの若者の間で人気が高い。日本は「文化」を生産・消費する一般大衆の感度やレベルが高い国なのだ。

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