与謝野、園田、谷垣、大島ーー菅直人政権の命運を握る仙石由人の「知られざる人脈」
加藤紘一以外人脈のない首相になりかわり

 8月2日から5日まで2日間ずつ衆参院予算委員会が開かれた。菅直人首相は、野党・自民党の谷垣禎一総裁をはじめとする中堅・若手の論客からの厳しい追及に立ち往生する場面こそなかったものの、昨夏の衆院選マニフェスト(政権公約)破りについて言及されるなど苦しい答弁に終始した。

 焦点の秋の臨時国会を菅首相で乗り切ることができるのかとの声が民主党内から出始めた。もちろん、9月14日に実施される代表選を念頭に置いてのことだ。

 3日には海江田万里衆院財務金融委員長が呼びかけた勉強会が衆院議長公邸で開催され、同氏が所属する鳩山(由紀夫前首相)グループからだけでなく、旧社会党の横路(孝弘衆院議長)グループ、旧民社党の友愛グループ、そして小沢(一郎前幹事長)グループなどから約50人が参加した。

 同勉強会を看過すべきではないのは、

(1)海江田氏を全面支援した横路氏はこれまで「非小沢」とされたが、菅首相の参院選の"戦後処理"を巡り不信感を強め「非小沢・反菅」となっていること

(2)代表選出馬に意欲を隠さない海江田氏がすでに独自の「政権構想」に着手、鳩山氏にも報告していること

(3)同勉強会の講師に作家・辻井喬氏を呼んだが、同氏の近著『茜色の空』は与野党伯仲時代にパーシャル(部分)連合の提唱者だった故大平正芳元首相を主人公にしていること

――などである。

 海江田氏自身に代表選出馬に野心があることは自明である。先述の「政権構想」には現職の財務省・日銀官僚が協力しているという。財務省(勝栄二郎財務事務次官)がここに来て菅首相と距離を置き始めたという情報があるだけに、海江田氏の「意欲」は無視できない。

 一方、代表選再選を目指す菅官邸では、ねじれ国会での与野党間協議を念頭に置いた仙谷由人官房長官を中心に水面下で自民党、みんなの党(渡辺喜美代表)、たちあがれ日本(平沼赳夫代表)との接触が行われている。

 仙谷官房長官は、たちあがれ日本とは財政再建で一致する与謝野馨元財務相、園田博之幹事長と極秘裏に会談、さらに与謝野氏と気脈を通じている舛添要一元厚労相(新党改革代表)との接触をも模索している。

 枝野幸男幹事長もまた、前原誠司国交相とともに旧新党さきがけ(代表・武村正義元官房長官)人脈である園田、渡海紀三郎元文科相(自民党・落選中)との会合を重ねている。

谷垣氏とは東大法学部の同期

 こうした中で、自民党には加藤紘一元幹事長以外にパイプがない菅首相に代わって仙谷官房長官の同党へのアクセスに注目が集まっている。谷垣総裁とは東大法学部の同期であり、互いに弁護士出身政治家である。

 98年金融国会時の与野党協議による金融再生関連法案成立の過程で、当時の民主党(代表・菅氏)にあって2回生だった仙谷、枝野両氏が自民党の石原伸晃、渡辺喜美、塩崎恭久氏らと協力し、「政策新人類」という言葉がマスコミでもてはやされたことは、これまで何度か言及した。

 だが、谷垣氏も当時、宮澤喜一蔵相の下で大蔵政務次官として政府サイドから与野党協議を側面支援していたことを知る者は少ない。谷垣氏は当時の宏池会(宮澤派)にあって、科技庁長官という閣僚経験があるにも拘らず、宮澤氏の強い要請によって格下の同政務次官を受けた経緯がある。

 そしてその金融国会以来、当時の野中弘務官房長官同様、携帯電話の番号を交わす仲になっているのだ。さらに言えば、自民党国対筆頭副委員長だった大島理森幹事長もまた爾来、民主党筆頭副幹事長だった仙谷氏との関係を立ち上げているのだ。

 つまり、菅官邸に仙谷官房長官がいる限り、財政改革協議機関設置などを通じて自民党を同じ土俵に上げられる=国会空転はないとの見方が党内に広がり、菅首相が代表選で再選される可能性が高くなる。キーマンは仙谷由人氏である。

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