田原総一郎×古賀茂明 VOL2
「現職経産官僚が明かす『菅政権迷走の構造』」

vol.1 はこちらをご覧ください。

田原: 前回の菅さんと小沢さんで争った代表選では、小沢さんのグループは小沢さんを推した。しかし菅さんを推したのは菅さんの支持者じゃない。反小沢の人たちが推したんです。だから菅さんを推したグループの多くは菅さんがいいと思っていない、実は。ここがややこしい。

古賀: そうですね。

田原: ある自民党の幹部に、どうするんだ、もし通ったら小沢さんと組むのかと聞いたら、「それはあり得ない」と。じゃあ、どうするって言ったら、「反小沢・非菅だ」と言うんだ。そんなのいるのかね。

古賀: 結構いるかも知れない(笑)。国民から見ると分からないわけですよ、なにが軸なのかということが。もう一回混乱がないと整理しきれないなとは思いますね。

田原: もし不信任案が通って菅さんが解散したらどうするんだろう。そうなったら国民はもう怒り爆発ですよ。こんなときに選挙なんてありえない。もっと言えば片山総務大臣が、東日本大震災で地方選を延ばすと言ったんだね。地方選挙は延ばして、国会議員の選挙はやるのかね、大矛盾ですね。

古賀: 東北で本当にできるのかという問題もあります。なにより選挙民がなにで政治家を選べばいいのかまったく提示されていない。なんのための選挙か全然ない。なにを問うんですかという、好き嫌いで選んで下さいみたいな話しかなくなっちゃいますね。

田原: 谷垣さんはなぜ菅がダメなのか、もっと国民に分かるように説明しなくてはいけなかった。それをまったくやってない。

古賀: 大きな流れで言えば自民党政治に国民がNOを突きつけた。で、民主党政権になった。でも民主党はこれだけ混乱して、国会で不信任を突きつけられた。という流れになっているんです。じゃ、自民党はNOを突きつけられたのに、それに対して答えを出しているかというとまだ出していないわけですね。

田原: なんにも出していない。

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古賀: やっぱり私は早く自民党に変わってほしいんですね。NOと言われたんだから、じゃ、こう変わりますと。新しいマニフェストを作ってほしい。

 いままで少子高齢化に手を拱いてこんなにした。財政もこんなに赤字を積み重ねてしまった。原発もこんないい加減なことで大事故を起こした。---これらを全部総括し直して、まったく新しい自民党のマニフェストを早く出してほしいんですね。そうであれば選挙して、それが選択肢になると思いますけど。

田原: つまりこんなに財政を悪くし一千兆円の借金を作ったのはこれは自民党ですからね、民主党じゃなくて。

 なぜこんな借金を作ったのかというとその場限りの世論迎合ですよ、国民は増税がいやだというから。で、原発も実は自民党なんですね。原発問題も財政問題もまるで民主党が悪いみたいなこと言ってね、冗談じゃないよと、悪いのは自民党だよと。

古賀: 野党だから批判するんだということかも知れません。でも自分は次に与党になりますよと思っているんであれば、今まで自分が間違っていたんだったらそれをどう変えるんだというのを一個一個全部作り直したマニフェストを見せて、それを持って菅政権を批判するということをすべきだと思いますね。

インフラの復興は国債でやればいい

田原: 例えば財政で1000兆円の借金を作った。問題なら自民党ならどうするんだとね、これに対してね。菅さんは原発問題で遅れ遅れだと。じゃ、自民党ならどうするんだ。なんにもなしだからね。

古賀: そこは国民から見ると、なにも選択肢が与えられないまま混乱しているということで、非常に問題だと思います。

 よく増税の前にやることがあるといいますね。そのやるべきこととして公務員の給料下げろとか、あるいは資産を売れという話がある。しかし、それ以前に日本の経済をどういうふうに成長させるのかという、これを真剣にやってもらわないと。このまま増税だけでいったら日本の国は滅びる。いまだったら40兆円の国債を全部増税で賄いましょうと言ったら・・・。

田原: それはできないですね。

古賀: 消費税は20%とか25%になるわけです。経済成長の成長率を高めましょうというと、昔の自民党は公共事業なり補助金なりをばらまいた。みんなそれはもうやりたくないと思っている。

田原: こんなことは古賀さんは百も承知でしょうけど、復興構想会議の五百旗頭(真)さんという議長がまず増税ありきといったら総スカンだった。じゃ、増税やらなければなんなんだと。これが国債なんですよ、復興国債。増税と国債とどこが違うんだということを新聞もテレビも一切いわない。

 簡単なんですよ、増税とはいまの社会人からカネをふんだくることを言い、国債というのはその息子の代、孫の代からカネをふんだくることを言うんですね。じゃ、息子の代、孫の代からふんだくるのと、いまの社会人からふんだくるのとどっちがいいんだという選択はどうなんですか?

古賀: 復興国債について言えばそれでもいいと思っているんですよ。

田原: なんで?

古賀: というのはほとんどがインフラなのです。被災地に毎日のおにぎりを配るっていうのはそこでなくなっちゃいます。だけど本当のインフラ整備っていうのは30年40年先まで続いて、それによって経済を復興させます。もしいまそれをやらなければ東北の経済は本当にゼロになっちゃう。インフラを整備することによって経済がぐっと盛り上がる。

田原: もっと言えば公共事業を増やすということでしょ、単純に言えば。

古賀: そうです。

田原: いままで自民党は公共事業を増やして、結局はごまかしだったということが分かった、国民に。

古賀: そうなんですけども、地震でなにもなくなっちゃったところについて言えば、これはインフラ整備は必要だし、30年40年実際に有効に活用されるので。本当はそれを1年であるいは数年で全部返せっていうのは、経済的には暴論だと思っているんです。ただ・・・。

田原: 僕は国債の発行と増税と両方やればいいと思う。バランスは分からないけどね。

古賀: 両方必要だと思いますけれども国民の感覚として国債は、いままでは国債をどんどん刷ってそれを一生懸命経済成長のためにと使ったけど、なにもよくならなかったじゃないかと 。

田原: 成長しなかったと。借金が増えるばかりだと。

古賀: というところなんですね、最大の問題は。経済成長を本当にしていくためになにをするんですかというのが分からないまま、経済成長を頑張ったほうがいいじゃないかというのはダメだと思いますけども・・・。

田原: それはやっぱり古賀さんの経済産業省にも責任がある。

古賀: あります。

田原: 経済成長をどうするのかと去年もレポート出したけれども、抽象論ですよ、あんなものは。

古賀: 毎年出しています(笑)。

田原: 毎年だから、なんにもならないじゃないですか。

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