長期金利の指標である10年もの国債の利回りが1%の大台を割った。一方で、円高が一段と進行し、一時1ドル=85円台にまで上昇した。
財政赤字を放置すれば「国債が暴落する」というシナリオを吹聴し、増税キャンペーンを張ってきた新聞は、まったく逆の国債価格上昇=長期金利の低下に直面して、すっかり当惑しているようだ。

朝日新聞は「とりあえずマネーの行き先として選ばれているのが、先進国通貨のなかで相対的な安定感がある『円』であり、国内の投資家層に支えられて投げ売りのリスクも小さいとみられる日本の国債というわけだ」(8月5日付社説)と書いた。
相対的な安定感がある「円」? 投げ売りリスクが小さい日本の国債?
おいおい。つい、この間までは「このままだと、日本の国債は投げ売りされる」と強調してきたんじゃなかったか。
と思うと、後段では議論をひっくり返して「日本の財政運営が評価されて買われているのではない。気まぐれに移ろうとしているマネーに支えられている危うさを認識すれば、値上がりした国債相場に急落のリスクが蓄積されていることも見えてくる」という。
いったい「投げ売りリスク」があるのか、ないのか。書き手の混乱がにじみ出た社説である。こういう文章を読んでいると、こちらの頭が濁ってくる。これくらいにして本題に移ろう。
長期金利はときどきの景況感を反映する。日本の潜在成長率は1.5%弱と言われているが、それをも下回る1%という長期金利の数字は、なにを意味しているのか。
投資家の選択はあきらかだ。
ざっくり言えば、投資家は「実物経済に投資したって、どうせ1.5%の収益率を確保できない。それより、利回り1%でも国債で運用したほうがいい」と考えているのである。投資家の中には、資金の出し手である家計や銀行が含まれる。
言い換えれば、いまや投資家が「日本の潜在成長率は1.5%」という話を信用していない。民間部門の成長力にも期待していない。民間に資金を出すくらいなら、政府の借金に手を貸したほうがまだマシだと思っている。
それくらい日本経済の先行きを悲観視している、という点が本質である。
政府の借金はたしかに大きいけれども、民間部門の先行きはもっと期待できないから、相対的に考えれば、国債投資のほうが割が合うと考えているのである。
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