雑誌
ひとつになれない 三越vs.伊勢丹
泥沼と憎悪の「内部資料」

〔PHOTO〕gettyimages

 崖っぷちの百貨店業界。昨年も全国で11店舗が閉店した。その逆風のなかJR大阪駅に新店舗をオープンしたばかりの業界トップ三越伊勢丹。合併後初の開店で社員の士気も高い・・・はずなのだが。

あまりに違うボーナス

 4月に合併を果たした三越伊勢丹。いままさに船出したばかりといったところだが、早くも雲行きは怪しい。本誌先週号でもお伝えしたとおり、現在、三越伊勢丹の内部では〝ボーナス格差〟による対立が起こっている。

 今回、本誌は三越伊勢丹に関する様々な内部資料を入手した。国内全店舗の月毎の売り上げ・予算・前年比一覧のデータをはじめとして、係長クラス以上の全社員の顔写真、所属が記された『2011 役付者一覧』や、労使協議の議案書などである。

 例えば、『三越伊勢丹グループ労働組合三越伊勢丹支部2011年度春の交渉議案書(案)』には、以下のように書かれている。

〈新会社スタート後は、全従業員一丸となって、厳しい企業環境に向かっていかなければなりません。そのために、出身会社・雇用形態・各々の役割・世代などを超えて、互いを理解し双方向のコミュニケーションをとる事によって真の一体化を目指していきましょう〉

 真の一体化、と理想は高い。しかし、現実はかけ離れている。

 6月15日は、同社にとって合併後初となるボーナスの支給日だった。各部署では、部長が社員をひとりずつ呼び出し、ボーナスの明細書を手渡していく。普通の企業であれば、こんな時は金額やその使い途を巡り、同僚との会話が弾むものだろう。

 だが、三越伊勢丹の社員はいずれも、受け取った明細書にチラリと目をやると、そそくさと鞄にしまい込み、何事もなかったように仕事に戻ってしまったという。旧伊勢丹出身の同社社員が苦笑しながら言う。

「例年であれば、上がったとか下がったとか、同僚と言い合うんですが、今年は一切、ボーナスについての会話はありませんでしたね。というのも、支給額が我々〝I社員〟(旧伊勢丹側社員)と〝M社員〟(旧三越側社員)の間で大きく差がついたからです。I社員は平均で3~4ヵ月分もらえるのですが、M社員は1ヵ月分だけ。あまりに違うので、事前に上司から『M社員の前で、ボーナスの話はしないように』とお達しが出ていたんです」

 事実、三越伊勢丹の〝ボーナス格差〟の凄まじさは、本誌の入手した『2011年5月メンバーズVOICE議案書(案)』からも明らかだ。

 三越伊勢丹の給与体系は合併後に一本化され、ステージA(店長・部長クラス)、ステージB(係長~課長クラス)、ステージC(係員クラス)に大別、各ステージはさらに数段階の〝ゾーン〟に細分化されている。

 同議案書に掲載のボーナス支給表によると、ステージBの6月のボーナスは、旧三越側社員が中位評価で1ヵ月分、最高でも1・2ヵ月分しか支給されないのに対し、旧伊勢丹側社員は中位評価でも3~4ヵ月分、なかには、5ヵ月分を越えるケースもある。

 例えば、ステージBで最低ランクのゾーンXの社員の場合、月給は40万円。つまり、旧三越側社員ならボーナスは1ヵ月分の40万円が平均だが、旧伊勢丹側社員であれば120万~160万円程度までハネ上がるわけだ。

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