電子書籍が拓く「ソーシャル読書」の時代
読書も「所有」から「共有」へ

 「知のオープン化」はインターネット社会のキーワードの一つです。今では、分からないことも一たび検索すれば、概ね満足する知識は得られてしまいます。ソーシャルウェブ時代には、Q&Aサービスやツイッターなどを用いて、直接人に尋ねることも可能です。

 「知」は独占するものではなく、積極的に共有するものになりつつあります。情報テクノロジーは様々なものを共有することを可能にし、社会の進化を加速しています。今では近所の人とモノを共有するサービスや、古くなった子供服を誰かと交換するサービスも登場しています(参考:「所有」するなんてナンセンス! テクノロジーが加速する「共有」の時代)。

 しかしながら、依然として共有されにくいものは存在します。今回取り上げるテーマ、「読書」もその一つです。

 読後に書評や感想文を共有することができますが、読書という行為そのものを共有することは難しいです。読書は一人で行うものであり、そこで生まれる気付きや知恵は、多くの場合共有されません。

 それを変えるのが、電子書籍というテクノロジーです。例えば、AmazonのKindleには「ポピュラー・ハイライト」という興味深い機能が搭載されています。

この文章を10人が注目しています

 Kindleには、気になった文章をハイライトする機能があります。紙の本で言えばマーカーを引くことに当たるでしょう。

 今回紹介する「ポピュラー・ハイライト」機能は、多くの人がハイライトしている箇所を知ることができる機能です。

ポピュラー・ハイライト機能

 この機能をオンにした状態で本を読み進めていると、突然「ここは20人がハイライトしています」という表示に出会います。

 何だか余計なお世話で、少し気持ち悪い気もしますが、この機能がもたらす読書体験は刺激的です。

 読書という行為は通常一人で進めていくものですが、ポピュラー・ハイライト機能を用いると、読書中に自分以外の誰かの存在を感じることができます。

 同じ本を読んでいる人がどう感じているかを、間接的に体感することができるのです。紙の本を一人で読み進めている際には決して得られない体験です。

 もっとも、他者の存在が邪魔になる場合もあるでしょう。自分の世界に浸る必要がある、小説や詩集などには合わない気がします。ビジネス書、学術書、論文などには相性が良さそうです。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら