“丸裸”ホリエモン 「それでも続ける宇宙ロケット開発」への情熱旧ライブドアとの訴訟和解で208億円の支払いが決定

2010年01月16日(土) FRIDAY
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 保釈後は、仲間とともにロケット開発を再開。ネットを使って、図面をもとに機械加工してくれる会社を探し出し、ムリを言って頼みこんだ。おもしろがって引き受けてくれたのは、社員10人規模の町工場だった。一方で、ロケットの材料として、手に入りやすく、安全な材料をかき集めた。例えば、燃料はドラッグストアで購入できるエタノール、点火装置はカーショップで入手できるカローラのプラグ、駆動装置はタミヤのモーター、実験設備はホームセンターで買ったベニヤと金属レール……。実験の規模が大きくなるにつれ、材料は変わっていったが、基本的には、すべてネットで手に入るものだ。手軽に使えるものでないと、大量生産できなくなるという理由もあった。

カローラのプラグで点火する初期のエンジン(左)、水を流して液体酸素の穴の流量を測る実験(中央)、液体酸素(内)とエタノール(外)が噴射される穴(右)〔PHOTO〕堀江貴文氏提供

 「開発といっても、材料費以外はみんな手弁当で、都合のつく日に集まって、地味な作業を繰り返すだけです。例えば、配管の漏れを確認したり、旋盤で開けた穴をヤスリで削ったり、一回実験したら、データをとって、ばらして、また組み立ててといった感じ。全員素人ですから、どうすればいいか分からない。もっとも、ロケットエンジンを自前で作った人なんて日本にいないので、誰かに聞けば済むという話でもなかったんですけど」

 エンジンの燃焼に成功したのは'08年のこと。エタノールと液体酸素が勢いよく燃え、数秒にわたって噴射し続けた。

民事訴訟の和解の一方で気になるのは刑事裁判の行方。現在、証券取引法違反について最高裁で争っている〔PHOTO〕船元康子

 「燃焼させた時の音と衝撃波はものすごいですよ。地面に直接噴射すると、地鳴りが起きたり、雲で跳ね返って上から衝撃波が来たり。さすがに近所迷惑なので、今は国内某所に新たな実験施設を作って、そこで燃焼試験を進めています」

 当面の予定は、フライトモデルを製作し、1年以内に実際に飛ばすことだ。海に向けて発射することになるが、そうすると、回収のために漁船を出したり、海上保安庁に連絡したりする必要がある。今は、どこで打ち上げるかを検討しているところ。そして、打ち上げが成功すれば、その後は、マイクロサットと呼ばれる小型衛星を乗せた打ち上げ実験を進めることになる。

 「最近、大学や企業でマイクロサットを開発していますよね。まずはアレを安く打ち上げられるようにします。すると、今まで予算がなくて、宇宙に行きたくても行けなかった人たちが、どんどん衛星を上げて研究開発するようになるはず。そこの中で、技術的なブレークスルーが生まれる。例えば、高度200kmという超低空を飛ぶ小型衛星。通常、この高度だと、燃料が足りなくなって落ちるんですが、太陽電池を使ったエンジンやイオンエンジンの研究開発が進めば、軌道に乗せることができる。すると、地上の超精密撮影なんかも可能になるわけです」

 さらに、こうした新技術の研究開発は、有人飛行や恒星間移動、惑星間移動などにも生かされていくことになる。

 「有史以来、500人くらいしか宇宙に行っていないんですよ。そのケタを二つくらい変えたい。5万人が宇宙に行くようになれば、“バカ”な発想をする人たちがどんどん出てくるはず。例えば、原子力エンジンを開発したり、衛星に居住したり。そういう自由なアイデアが生まれる場を作ることが僕らの目標なんです」

 30億円払ってまで行く宇宙旅行にはまったく興味がないと言い切るホリエモン。“丸裸”になっても、ロケットに熱中する姿は、いかにもホリエモンらしい。

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