舛添レポート

「ねじれ国会」時代に問う、参議院はどうあるべきか

衆院からの鞍替え議員はよく考えて欲しい

2010年08月03日(火) 舛添 要一
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 「ねじれ国会」に対応するために、秋からの政局は大きく動くであろうし、場合によっては政界再編成ということになる可能性もある。

 このような政治のダイナミズムを生むのが、二院制の下での「強い参議院」の存在である。憲法で衆議院の優越が定められた首班指名、予算、条約以外は、衆議院と参議院は全く同格で、参議院が拒否すれば法律案は成立しないことになる。

 憲法第59条には、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と定められている。これは、政治の停滞を防ぐ一つの手段でもある。

 私が閣僚を務めた安倍、福田、麻生内閣では、この3分の2条項が活用できた。しかし、今の菅内閣の与党は、3分の2の多数に至っていない。したがって、政府提出のすべての法律案が成立しないという危機的な状況にある。

 憲法59条には両院協議会の設置も定められているが、その構成が今のように衆参同数ならば、事態解決の決定打にはならない。この構成を衆議院優位にしないかぎり、参議院の権力の源泉はなくならない。したがって、憲法改正にまで至らなくても、国会関連の法律や規則を変えることで、一定の改正が可能である。

 しかしながら、これらの改革はすぐにできるものではない。そこで、政権与党の立場でこのような難局をどう打開するかを考えると、参議院の多数派工作よりも衆議院の3分の2工作を展開したほうがより簡単だということにもなりかねない。ただ日本の政治の安定ということを考えれば、やはり衆参両院で安定した多数派を形成するにこしたことはない。

 いずれにしても、参議院のあり方について、国民的議論をまきおこすべきである。前回、フランスの第5共和制憲法体制の矛盾、つまりコアビタシオンについて説明したが、その問題点は、フランスの政治家たちの大人の対応で克服できている。日本でもまた、そのような対応が必要だろうし、制度改正への道筋もつけねばなるまい。

 それにしても、参議院、そして参議院議員はどうあるべきなのか。自分自身の9年間にわたる参議院議員としての経験も踏まえて考えてみたい。

 今回もまた、昨年夏の総選挙で落選した衆議院議員が多数立候補し、当選を果たした者もいる。そこで、参議院は「衆議院議員の失業対策本部」と揶揄されるのである。

 愛媛の関谷勝嗣前参議院議員は、よく私に、「自分は、衆議院で落選したからではなく、自らの意志で参議院に変わったのだ。他の諸君は衆議院に落ちたから、失業対策で参議院に来ている」と語っていた。職業選択の自由はあるものの、国会議員であれば衆参どちらでもよいというのでは、あまりにも便宜的すぎないか。

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