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大論争 社内公用語が英語って、なんか違うんじゃない?
楽天、ユニクロ、日産

 英語ができない社員はクビだ---。横文字が苦手な人には悪夢のような世界が、現実になりつつある。時代を先取りする優れた戦略なのか、世紀の愚策なのか。各界の論客たちが熱く語る。

「普通、バカだと思われます」

「会社の幹部ならともかく、一般社員にまで社内で英語を使わせることに、何の意味があるのでしょうか。5年に一度のハワイ旅行のために、お金を払って英会話教室に通ったら、その人は普通、バカだと思われますよね。海外赴任の可能性もない社員に英語を覚えさせるのは、それと同じくらいムダで愚かなことです」

 こう呆れるのは、マイクロソフト日本法人元社長でインスパイア取締役ファウンダーの成毛眞氏だ。

社員食堂のメニューも英語表記する楽天・三木谷社長

 今、日本企業に「英語の社内公用語化」という巨大な波が押し寄せている。その先頭に立っているのは、インターネット通販大手の楽天だ。

 楽天は6月30日の説明会で、2012年のうちに社内の公用語を英語にすると発表。三木谷浩史社長も説明と質疑応答を英語でこなし、「(英語の公用語化は)日本企業であることをやめて、世界企業になるための第一歩」とぶち上げた。楽天の幹部社員は言う。

「すでに取締役会だけでなく、幹部会議や、全社員が月曜の朝に集まる『朝会』での社長の話も、すべて英語で行われています。資料もほとんどが英語。

 社長が『英語ができない執行役員は2年後にはクビにする』と語っており、上級管理職にはTOEIC750点以上、中間管理職には700点以上の英語力が求められている。社員の多くは必死で英語を勉強しています」

 楽天は5月、ベルリッツ・ジャパンに依頼して、社内で英会話教室をスタートした。220名の募集枠はすぐにふさがってしまったという。

「うちの若い社員は、英語力の高い者が多い。やはりミドル層の方が概ね不得意ですね。幹部会議でも、皆、まだ会議の中身より英語を話すことに気を取られています。そもそも『グッド・モーニング』なんて同僚に話しかけるのも、内心ちょっと恥ずかしくてね(笑)。

 でも、週一度のレッスンと、毎日聴いている英語教材のおかげで、だんだん覚えてきましたよ。自信もついてきた。『取引先が日本企業なのに、なぜ英語の練習をしているのかな』と思うことはあるけれど(笑)」(前出の幹部社員)

 ちなみに三木谷社長の英語力は「ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士)を取っただけあって、非常にうまい。日本の経営者で、メモや台本を見ずにあれだけ話せる人は珍しい」(アメリカ人ジャーナリスト)という。