「世界初ソーシャルマガジン」アプリケーションのFlipboardが生み出す3つの変化とは?

 先週、iPadアプリケーションの可能性を再定義するほど衝撃的なサービスが登場しました。世界初の「ソーシャルマガジン」と自称するアプリケーションの名前は「Flipboard」。

  シリコンバレーのベテラン起業家のJohn McCue氏(Tell Me社を創業し、マイクロソフト社に800億円で同社を売却した経歴をもつ)がアイデアを着想し、共同創業者にはApple社で iPhoneのシニアエンジニアとして働いていたEvan Doll氏が参加。

 そして強力なチームにはお金も集まることを証明するかのように、FlipboardはKleiner PerkinsからシリーズAラウンドで約10.5億円の出資を受け、個人単位ではTwitter創業者のJack Dorsey氏やFacebook共同創業者のDustin Moscovitz氏からも出資を受けています。

  その話題性のあるメンバーによって当初から多くの注目を浴びていたFlipboardですが、先週リリースされた肝心のアプリは、世界中の予想値を軽く超えて見せました。

「これはソーシャルメディアの新たな波、そして雑誌という概念を変革するだろう。ついにiPadの良さを最大化するアプリケーションが登場したね」、Kleiner PerkinsのJohn Doer氏はそう語っています。

  本日は注目が高まるiPadアプリケーションのFlipboardが生み出した『3つの変化』についてお伝えしたいと思います。

1. ソーシャルメディアとの出会い方を変えた

「何故大多数のTwitterクライアント(Hootsuite,Seesmic等々)は、情報が上から下に流れるストリーム形式に固執するのだろう?」

 創業者のMcCue氏はソーシャルメディアで流れる情報の表示方法に強い問題意識を覚えたそうです。一様なタイムラインを追うつまらなさ、リンク先の記事内容が140文字では伝わり切らないもどかしさ、そういった数々の問題に対してFlipboardは『インターフェース』の原点に戻ることを決意しました。

「Flipboardを通して、ソーシャルメディアとユーザーとの関わり方、そのエクスペリエンスをより美しくしたかったんだ」、そうMcCue氏は語っています。同アプリは無料、そして使い方も非常にシンプル。

 FlipboardはTwitterやFacebookで友達が共有したステータスやURLを雑誌スタイルで見やすく表示し、ユーザーはページをめくるようにiPadを「フリップ(めくって)」して、タッチ操作で情報と出会えるのです。

 ソーシャルメディア上で共有された写真や動画をダイナミックに見せることで生まれた綺麗で直感的なインターフェースは、ユーザーにとっては新感覚ですし、iPadとの相性も抜群です。

2. 雑誌という概念を拡張した

 Flipboardは雑誌の強みであった美しいインターフェースを取り入れただけではありません。彼らは、ソーシャルネットワーク内で共有される、ユーザーが気になるコンテンツだけを厳選して届けるような雑誌を目指しました。

  Flipboardが開発した「ソーシャルアルゴリズム」はユーザー間のコンテンツ評価(TwitterのRT回数、FacebookのLike数等々)によって一瞬一瞬、人気のコンテンツを識別し、雑誌形式で表示してくれるのです。

 雑誌の良さを導入しつつ、Flipboardの内容は一方的に誰かが押しつけたものではなく、私達の友達が偶然発見し、面白いと感じたもの。また、Flipboardはソーシャルメディア上の友達のフィードだけでなく、自分が好きなウェブコンテンツ(TechCrunchやWired等)もブラウズするオプションも提供してくれます。

  つまり、同サービスは内容を非常にパーソナルにカスタマイズが可能なソーシャルマガジンなのです。

3. ウェブ広告の在り方を変えた

  Flipboardは情報消費の仕方、雑誌のあり方を変革する存在になりつつありますが、同サービスはそれだけではなく、ウェブ広告が従来抱えてきた問題にも取り組もうとしています。

  McCue氏はこう語っています。 「ウェブ上での広告はユーザーにとって今まで本当に邪魔な存在だったし、無駄が多かった。しかし、雑誌の場合は違う。雑誌に掲載される広告はそれを読む貴重なエクスペリエンスの一部分として多くの読者に認識されて来た。

  広告は単なるビジネスモデルの問題ではなく、デザインの問題として捉えるべきなんだよ」。広告が文脈なしに表示されるのではなく、ユーザーのコンテンツによって変化し、その表示方法がより美しくなったらどうでしょう? ユーザー自身が経験の一部として認識出来る広告の導入方法も、Flipboardはこの瞬間も準備をしています。

ソーシャルメディアにストーリー性を

 先日、Ellerdale社(ウェブ上を流れている、大容量の情報をリアルタイムで意味分析するための技術を手がけたスタートアップ)の買収も公表し、同社はそのソーシャルアルゴリズムの改良に勢いをかけています。

 Flipboardは現時点での優先順位は収益化ではなく、ユーザーの確保と銘打っていますが、登場1週間でサービスには列が出来る程の注目が集まっていますし、新たな広告の形を模索するその収益モデルにも期待が高まるばかりです。

  確認までにですが、Flipboardはただ単に情報を雑誌形式にしたわけではありません。彼らは情報を雑誌形式にパッケージ化したことで、今までバラバラに見えた情報にストーリー性を付加したのです。

 雑誌×ソーシャルの流れによって、私達の情報との出会い方は劇的に変化する、そう私は感じています。では最後に、iPadとシナジー効果を起こす同サービスを動画で是非ご確認下さい。

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