日本企業は「国際競争」から脱落する
自見金融相が主導する「国際会計基準IFRS」導入先送りへの懸念

これまでの方針を「政治主導」で一転
我が国のIFRS対応に関する要望
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 20年以上にわたって繰り広げられてきた会計基準の国際化論議。経済のグローバル化に伴って、ビジネスのルールである会計基準を国際的に統一していくという流れの中で、日本では、国際会計基準IFRSを上場企業に義務付けることで決着するかに思われた。ところが、一部の反対派が政治力を駆使して一気に巻き返し、再び先送りの気配が濃厚に。国力が弱まっている今、「会計鎖国」に踏み切れば、日本は一気に没落することになりかねない。

 金融庁は6月末に企業会計審議会を開き、IFRSの日本企業への適用を先送りする方針を固めた。2009年に開いた同じ審議会で、2012年までに日本の上場企業にIFRS利用を義務付けるかどうか決定、2015年か16年から適用を開始するというスケジュールを決めていた。この日程を2~3年先送りする、というものだ。

 東日本大震災を先送りの理由にしているが、実際は違う。2015年をメドにIFRSの導入を準備している多くの企業にとっては寝耳に水。混乱は必至の情勢だ。

「IFRSっていうのは小泉・竹中だろう?」

 IFRS導入に向けて準備を進めてきたはずの金融庁が一転、方針を変えた背景には、"政治主導"の政策転換があった。

「IFRS導入は白紙撤回だ」

 自見庄三郎・金融担当大臣が金融庁の幹部に突然、そんな指示を出したのは6月のはじめだった。実は5月25日付けで大手企業が名を連ねた「我が国のIFRS対応に関する要望」が三国谷勝範・金融庁長官あてに出されていた。

 要望事項は、IFRSの扱いについての早急な議論の開始することと、結論が出るまで時間がかかる場合には準備期間を十分にとること、の二点。ところが、別紙としてIFRS導入を白紙撤回することなどを求める一部企業人の意見などが付けられており、真の狙いが反IFRSにあることは明らかだった。この要望書を持って、自見氏のところに陳情が来たことは自見氏自身も認めている。

 陳情した人物が自見氏にIFRSについてどんな説明をし、その結果として自見氏が「白紙撤回」を指示したのかは分からない。だが、その後、自見氏が会った金融関係者に発した質問を聞けば、大臣としての理解の浅さが分かる。

 自見氏は何と聞いたか。

「IFRSっていうのは小泉・竹中だろう?」

 尋ねられた人物は耳を疑ったという。

 自見氏が所属する国民新党は郵政民営化を推し進めた小泉純一郎元首相と竹中平蔵元総務相による、いわゆる「小泉・竹中改革」を全面否定し続けてきた。陳情した人物はIFRSは小泉竹中改革の一環だという説明をすることで、自見氏に反IFRSへと舵を切らせたのだろうか。

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