菅直人内閣が2011年度予算の概算要求基準を決めた。
自民党政権時代の名残りを嫌ったのか、今回の基準はわざわざ「概算要求組み替え基準」と名前を変えたうえ「~総予算の組み替えで元気な日本を復活させる~」と副題まで付けた。

重要とはいえ、あくまで予算編成の手続きを決めた政府部内の文書にすぎないのに、副題を添えるのは異例だ。それだけ国民の目を意識している表れだろう。
だが肝心の中身を見ると、財務省主導が色濃くにじんでいる。
そもそも概算要求基準を決める前から、財務省はしっかり予算編成の外堀を埋めていた。
参院選前の6月22日に菅政権は国債費を除く歳出の大枠を約71兆円以下、国債発行額を約44兆円以下に抑える方針を閣議決定しているのだ。
実は、これで8割方が決まったようなものだった。
歳出の大枠と国債発行額を決めれば、税収は操作の余地があまりないので、残るは埋蔵金など税外収入をどれだけかき集めるかで予算の骨格が固まってしまう。
埋蔵金の活用は事実上、財務省の胸先三寸にかかる。つまり、予算編成は最初から財務省の手のひらに乗ったも同然だった。
今回の概算要求基準はこの閣議決定を踏襲したうえで、各省の要求額は10年度予算比1割減とし、その削減分を財源にして、1兆円を相当程度超える額の特別枠創設を決めたにすぎない。
特別枠は民主党が求めた2兆円から圧縮したが、1割減の要求額は財務省がつくった原案そのままだ。民主党が本来、もっとも重視すべき「組み替え」については、冒頭のような表題に掲げただけで事実上、なにも決まっていない。
つまり、枠組みづくりの段階で民主党の色合いはほとんど出なかった。
では、この後、民主党は自分の色を出せるのか。それも難しい。なぜなら、民主党が自分本来のカラーを出そうとすればするほど、自民党はじめ野党が離反していくからだ。
特別枠の使途について、概算要求基準ではマニフェスト政策の実現、デフレ脱却・経済成長、雇用拡大、人材育成、国民生活の安定・安全に資する事業を挙げている。
加えて、高校の実質無償化や農業の戸別所得補償、高速道路の無料化といったマニフェスト政策にかかる経費は1割減の対象外とした。
野党はまさに、こうした政策を「ばらまき」と批判して、見直しを迫っている。マニフェストを存分に盛り込んだ予算をつくれば、野党は最終的に来年の通常国会で税制改正や特例公債発行、さらに制度改革に伴なう予算関連法案を否決する可能性がある。
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