"コスト削減"から、米企業が中国に進出したのは一昔前のこと。
中国が存在感を高めたいま、立場は逆転しようとしている。
米国南部のサウスカロライナ州、スパータンバーグ郊外に出現した真新しい建物。中国の印刷機械メーカー「アメリカン・ユンチェン・グラビア・シリンダー」の工場である。同社が米国に工場を建設した理由は、なんと"安い"からだ。
フォーチュン(USA)より同社は約8000坪の敷地を35万ドル(約3100万円)で購入したが、上海などと比べると費用は僅か4分の1で済んだ。電気代も中国の3分の1以下。
人件費こそ中国のほうが安いものの、サウスカロライナ州商務省の上海事務局に勤めるジョン・リングが言うように「米中間の製造コストの差は縮まりつつある」のだ。また、米国に工場を設けることは、中国企業にとっては関税対策にもなる。
このように、中国企業にとって米国で工場を建設することのメリットは少なくない。その結果、大手家電メーカー「ハイアール」などの中国企業が米国に続々と上陸しているのだ。ニクソンが中国を訪問した1970年代とは真逆の状況である。
この流れは両国の政府も歓迎している。米国の州政府は、中国企業を誘致しようと税額控除などの優遇策を提示。中国政府も中国企業の世界進出を促すべく、初期投資の30%を補助する政策をとっている。その結果、2009年には中国の対米直接投資の額は、日本に次ぐ50億ドル近くに上った。これはそれまでの平均の10倍となる。
サウスカロライナ州には他にも中国企業の工場が進出しているが、地元住民のあいだに反中感情はほとんどなく、むしろ、雇用の創出に対する好意的な反応のほうが大きいという。
中国は米国の同盟国ではなく、乗り越えるべき課題は少なくない。それでも中国人投資家の多くは、中国企業の米国上陸が米中関係にとってポジティブなものになることを期待している。
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