ああ、消え行く菅政権

民主、裏切りと陰謀の夏 小沢が嗤っている

 ここは役人天国、「菅から官へ」大行進/小沢が怖い、とにかく怖いんだ/仙谷の「面従腹背」、前原の「馬鹿にした態度」。菅おろしに雪崩を打つ民主党実力者たち/そして誰もいなくなっちゃった。

 国民の信を失った菅政権は、死に体と化している。焦る菅首相は政治主導を捨て去り、財務省の犬となってまで総理の椅子にしがみつく。まさに末期症状。それを見た「壊し屋」がついに動きだした。

信頼も期待も失った菅総理

 9月に何かが起きる-。混迷を深める政局の鍵を握る男が、7月21日、久々に公の場に登場した。小沢一郎前幹事長が約2週間ぶりに姿を現したのだ。

9月代表選に自身の政治人生のすべてをかける小沢一郎前幹事長

 小沢氏は新築された永田町の議員会館の自室(605号室)で、参院選を戦い終えた自身肝煎りの候補者たちと面会を行い、「参院選は議席を失うべくして失った」などと、菅直人首相の批判を繰り返した。

 小沢氏側近はこう語る。

「いまわれわれは、"見極め"をしている。誰が小沢氏のもとに来て、誰が来ないか。誰が何をどこで話しているのか。見極めることで"色"が見える。9月になれば、自ずとそのすべてが明らかになるだろう」

 小沢氏はこれまで約2週間、「雲隠れ」していた。参院選直前の7月8日から行方をくらまし、東京駅近くのホテルのスイートルームに籠っていた、関西に潜伏していた・・・など様々な説が飛び交った。

 18日、同氏が八丈島を訪れたところを一部のメディアが捕捉したが、姿を現したのはその時だけ。小沢氏の動向に、菅首相はじめ民主党議員はもちろん、関係者すべてが神経を尖らせている。

 小沢氏が水面下に「潜る」時、政界では何かが起きる。'93年7月、小沢氏は「オレは潜る」と話して姿を消し、人知れず政界工作を実施。再び姿を現した時には、細川護熙日本新党代表(当時)を担ぎ、非自民・連立政権を立ち上げる枠組みが出来上がっていた。

 それから17年。政治家としては老境に差し掛かった小沢氏は、「最後の戦い」に向けた仕掛けを、過去と同様、いったん姿を晦ますことで開始したのだ。

 これに相対する菅首相は、自分を刺すことに全精力を傾ける小沢氏が怖くてたまらないようだ。その精神の動揺と不安心理を物語るように、このところ菅首相が、公式の日程にやたらと遅刻することが報道関係者の間で憶測を呼んでいる。

「7月15日には、午前中は公邸から出てこず、官邸入りして執務を始めたのは予定より2時間遅れでした。20日のぶら下がり会見も30分遅れ。鳩山由紀夫前首相も政権末期には、追い詰められて遅刻を繰り返すようになった。菅首相はまだ2ヵ月ですが、相当、神経がまいっている」(全国紙政治部記者)

誰も彼もが「反菅」活動を開始。これ以上の政権維持は難しい

 菅首相は、支持率が30%台に落ち込んだ世論と同じく、党内でも人気がない。

 「イラ菅」という異名が示す通り、事あるごとに周囲に説教し、イライラと当たり散らす態度が、顰蹙を買っているからだ。首相の周囲には、彼を支えようという人間がほとんどいない。

 そんな寄る辺のない菅首相が、いま政権維持のための「最後の拠り所」としているのが、官庁の中の官庁こと「財務省」だ。

 7月14日、政府・与党内に動揺が走った。菅首相が唐突に、民主党政権の目玉の一つだった国家戦略室の縮小方針を打ち出したからだ。

 国家戦略室は、民主党の掲げる「政治主導」を実現すべく立ち上げられた。予算編成を含めた国家の経済・財政政策の立案・調整を担うとされ、将来は「局」に昇格させる前提で、担当大臣ポストも新設された。栄えある初代大臣は、ご存知、菅首相その人である。

 ところがこの政権交代の象徴と言うべき国家戦略室が、単なる「首相のシンクタンク」(仙谷長官)に格下げされるという。渡辺喜美元行革担当相(現・みんなの党代表)の下で補佐官を務めた政策コンサルタントの原英史氏(政策研究大学院大学客員准教授)はこう語る。

「国家戦略室は、財務省にとって目の上のたんこぶの組織でした。それを縮小するということは、菅政権が財務省依存体質を強めていくことを意味します。国家戦略室は、自民党政権時代の経済財政諮問会議のいわば延長線上で、政治主導を実現しようとしたもの。

 国家戦略室に比べると、かつての経済財政諮問会議のほうが政治主導に成功していたくらいなのに、さらにシンクタンクに格下げする・・・。これは、とてつもなく旧い体質に逆戻りするということです。'90年代の橋本行革以前、竹下政権とか海部政権とかの時代に逆行することになります」

 政治評論家の屋山太郎氏も失望を隠さない。

「鳩山政権は、公務員制度改革に何の成果も示さず崩壊しましたが、菅首相も、まったく改革に興味がない。

 参院選前、いきなり消費税問題の口火を切ったのも、完全に財務省の口車に乗った格好です。財務省にしてみれば、公務員制度改革などせずに歳入を増やしたいわけで、それが消費税。菅首相は政権を維持するために財務省と結託し、予算編成など、すべてを丸投げしたということです」

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