楽天イーグルス 岩隈久志 「ダルビッシュとは違う、僕の美学」
「理想は27球で9回を投げきること」29歳右腕が語る「エース論」
岩隈久志'81年、東京都生まれ。堀越高校では3年の夏に西東京大会ベスト4になるが、甲子園出場経験はない。'00年にドラフト5位で大阪近鉄バファローズに入団。'03年〜'04年に2年連続して15勝を挙げる。'05年から楽天。昨年までの通算成績は91勝53敗、防御率3.41 〔PHOTO〕乾 晋也(以下同)

取材・文:柳川悠二(ノンフィクションライター)

生命線は打たせてとる投球

 エースとして矜恃、だった。

  7月10日に西武ドームで行われた埼玉西武ライオンズ戦。東北楽天ゴールデンイーグルスの岩隈久志(29)は、涌井秀章(24)と投手戦を展開し、1-1の6回裏にピンチを迎えた。2死三塁、打席には西武の中心打者である中島裕之(27)が入る。

  定石なら敬遠、勝負するにしてもストライクを投げる必要のない場面である。

  しかし岩隈は、真っ向勝負を挑んだ。

  中島の胸元にストレートを投げ込んでいく。4球目、勝負球として選んだのは外角低めへのスライダーだった。緩急をつけた岩隈の投球にタイミングを狂わされた中島がセカンドフライを打ち上げると、ポーカーフェイスの岩隈がめずらしく上気した表情でマウンドを降りていく。

「相手はエースの涌井ですから。1点入るか入らないかの勝負になる。我慢強く投げようと思っていました」

  このエースのプライドが打線を勢いづかせ、勝利を呼び込む。岩隈は7回を投げて3安打1失点でマウンドを降りるが、直後の8回表に楽天に3ランが飛び出し岩隈は6勝目を飾った。エースの役割について、岩隈は次のように語る。