「確かに円高の影響は少なくありません。為替の動向には、注意を払っているところです」(クボタ広報部)
「現在のような為替市況が通期にわたって続く場合は、損益への影響は少なからずあります」(三菱自動車広報部)
円高が止まらない。今年4月に「1ドル=93円」前後だった為替相場は、6月下旬に90円を割ってから急上昇。7月16日には昨年11月の「ドバイショック」以来7ヵ月ぶりとなる86円台をつけた。
円高となっているのは、対米ドル(以下ドル)だけではない。ユーロに対しても激烈な円高となっている。今年初めに133円だったユーロは、7月20日現在、112円台後半。半年あまりで20円以上円高になった。
この円高に対して、各企業は、冒頭のように危機感を強めている。というのも、円高は、海外で売り上げ拡大を図る日本企業に大ダメージを与えるからだ。証券アナリストの植木靖男氏はこう話す。
トヨタ自動車の豊田章男社長。同社の海外売上高比率は70%になる「海外に進出した企業は、製品を海外で売った代金をドルやユーロで受け取り、それを円に換えることになります。円安の場合は、外貨を交換した時に多くの円を受け取ります。
逆に、円高の場合は、受け取る円が少なくなります。大幅に円高になった場合、企業はその分の損失を被ることになるのです」
そこで本誌は、海外進出する主要企業が円高でどのくらいの損失を被るのかを調査。それをまとめたのが次ページの表だ。植木氏の言う"損失"を示すのが、表の中央列にある「1円の円高による営業利益の損失額」だ。
これは、1円円高になった場合に、営業利益がどのくらいマイナスになるかを年間ベースで試算したもの。表中にある各数値は、企業各社が '10年3月期決算で公表した数字である。前出・植木氏が解説する。
「円高で企業業績に悪影響が及ぶ業界は、主に自動車と電機です。ただ、対ドルで円高になるのと、対ユーロで円高になるのでは、企業にとって、影響の度合いが変わります。対ドルで円高になった場合、大きな影響を受けるのはトヨタ自動車。
トヨタの北米での売り上げは全体の3割ほどを占めるためです。一方、対ユーロで影響が大きいのはソニーです。ソニーは欧州で全売り上げの4分の1を稼ぎ出しています」
損失額は莫大なものになる。トヨタ自動車の場合、1円の円高で約300億円なので、5円の円高では営業利益で約1500億円の損失が生じる。すると、予想営業利益の2800億円が半分になってしまうのだ。一方、ソニーの場合、対ユーロで10円の円高になると約700億円が消える。
また、円高1円による損失額が小さくても、営業利益が少なければ相対的なダメージは大きくなる。マツダは、対ドルで約30億、対ユーロで約12億円の損失額だが、予想営業利益が300億円と少ないため、仮に対ドルで5円、対ユーロで10円の円高になれば、営業利益の約9割が吹き飛んでしまうのである。
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