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 国家戦略局構想の断念に対してメディアは厳しい批判を浴びせている。当然だ。民主党は参院選マニフェストで国家戦略室設置を【実現したこと】の堂々2番目に挙げていた。それを、法的権限を付与して「局」に格上げするどころか、首相に政策提言したり、情報提供したりする「助言機関」に格下げするというのだから、デタラメぶりには呆れるしかない。

 しかも、荒井聰国家戦略相には不透明な事務所費問題が持ち上がり、公費によるキャミソール購入記録まで明らかになった。そんな「キャミソール大臣」の給与や経費まで国民が負担するのは釈然としない。是非とも蓮舫行政刷新大臣に仕分けしてほしいものだ。

 国家戦略局構想は政権交代の目玉政策だった。自公政権時代の経済財政諮問会議を廃止して、民主党の金看板である「官邸主導による政権運営」の中心となる組織を作るはずだった。ところが、民主党は初っ端から致命的なミスをした。国家戦略局の法的根拠となる内閣法等を改正せずに、国家戦略「室」でスタートしたのだ。

 これは、鳩山政権で実質的に官邸を仕切っていた松井孝治官房副長官(経産省OB)らの戦略ミスだ。当時は衆参のねじれはなかったのだから、法案を提出すれば通ったはずなのに、見送った。

 国家戦略局では予算編成方針を決定するはずだったので、一番嫌がるのは予算編成に口を出されたくない財務省だ。法改正がなかったことで財務省は喜び、さらには国家戦略室に大量のスタッフを送り込んで事実上、乗っ取ってしまった。かくして、昨年の予算編成は、財務省主導で行われた。

 今年になっても財務省主導は続いた。そして、その財務省の口車に乗って菅直人総理は消費税10%を言い出し、参議院選挙で惨敗して、衆参ねじれに陥った。その結果、法改正が困難になることを理由として国家戦略局断念となった。財務省は「してやったり」だろう。

 そうなると面白くないのが、菅政権に代わって官房副長官ポストを外された松井氏だ。「官邸主導の予算編成が国家戦略局構想の肝なんです。総理と官房長官が財務大臣と協議して予算編成を行うのであれば、自民党時代と同じじゃないですか」「手続き的に鳩山マニフェストの中核をこのタイミングで菅総理が変更してよいのか」などと批判し始めた。

 経産省OBとしては、財務省主導による予算編成を許せないのだろう。松井氏の後任副長官に座ったのが財務省OBの古川元久氏であったことも、無関係ではないはずだ。財務省主導による菅政権の運営に、経産省の立場からモノを申したと考えればわかりやすい。

 ただし、冷静に見れば、財務省主導なのか官邸主導なのかと綱引きをしたところで意味はない。衆参ねじれという現実の中では、与党案がすんなりとは国会を通らないからだ。しょせんは沈みゆくタイタニックの上でイス取りゲームを繰り広げているようなものだ。

 今後は、本当の主戦場は国会での委員会審議になるだろう。みんなの党はアジェンダすべてについて対案提出を準備している。ねじれ状況の下、法案の修正や与野党の妥協が柔軟に行われれば、国会の景色も様変わりするに違いない。

 また、「対案攻勢」や修正協議を重ねることで、民主党や自民党に亀裂が生じるかもしれない。政界再編成の芽が生まれる可能性もある。その意味では、国家戦略局の断念など些細な話にすぎないのかもしれない。



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