緊急アンケート 有識者50人政治記者30人が選ぶ
「次の総理」1位は石破茂、2位に野田

覚悟の「か」の字もない政治屋たち
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  6月8日に在任1年を迎えた菅直人総理。この日を境に菅政権は小泉政権以降では最長の内閣になったという。でも、もう十分。「次の総理」に一日も早く譲ってほしい。で、「次」って誰なの?

 誰もが呆気に取られるようなドタバタ劇で、菅直人総理に対する内閣不信任決議案は否決されたが、いくら菅総理が姑息に延命を図ろうとも、すでに余命いくばくもないことは明らかだ。

 そこで本誌は有識者50人、新聞・テレビ・通信社の政治担当記者30人に緊急アンケートを行った。内容は「現職の国会議員のなかで、日本の総理にふさわしいのは誰か」「その理由」を問うものである。

 アンケートの結果は5ページからの表のとおり。多くの回答者は、菅総理退陣後も民主党政権がそのまま続くことは望まず、大連立政権の誕生を前提にしていることがわかる。そうなると、総理を民主党から出すのか、自民党から出すのか、それとも民主・自民以外の第三党から出すのかでも大きく割れ、名前が挙がったのは実に26人。政界大混乱で本命不在の状況がそのまま表れている。

 そのなかで、もっとも票を集めたのが、自民党の石破茂政調会長(9票)だ。

「政権担当能力のまったくない民主党政権が続いていることが、現在の政治の大混乱を招いた。自民党を中心とする連立内閣を発足させる必要がある。だが、自民党の『長老』は閣僚からもいっさい排除し、政策能力、実行力のある若い人物を総理とすべき。石破氏は54歳と若く、経済政策と防衛問題にも明るい政策通。地味だが、総理を人気だけで選ぶべきではない」(元時事通信解説委員で帝京大学経済学部教授の黒崎誠氏)

「次の総理は東日本大震災の復興が第一の使命。よく勉強しているし、自衛隊にも詳しい石破氏なら適役」(在京キー局政治部記者)

 このように、政策通であることを評価されたが、その一方で「あの欠点」について心配する声も上がった。

「識見、行動力、経験ともに政界でもっとも優れていると思います。目付きの悪さだけは変えていただきたいけれど・・・」(文芸評論家・福田和也氏)

「話し方もオカマっぽいので、海外に出すのはどうか」(前出・キー局政治部記者)

 9月には日米首脳会談も予定されている。オバマ大統領を睨め付けるように見つめる石破総理という図が見られるのか。石破氏本人は現在のところ、民主党との大連立には否定的な見解を述べているが、このアンケート結果を受けて、気が変わるかもしれない。

 石破氏に感想を聞いた。

「めでたいですね(笑)。ただ、私は自民党の政調会長。谷垣総裁を総理にするために働くのがミッションです。勘違いしないように自戒しています」

—次の総理は、復興や原発事故対応が求められます。石破さんが自衛隊に精通していることも評価の一因になっています。

「オタクですから。防衛庁長官、防衛大臣を経験して言えることですが、自衛隊というのは動かし方を知らないと使えない実力組織です。動かし方を知るには自衛隊法などを詳しく知っていなければならないし、この戦車は何kmのスピードが出るか、ということも把握しておく必要がある。日本では、私は軍事オタクと言われますが、諸外国の国防大臣なら知っていて当然のことです。オタクだ、マニアだと言われてきた私が政界で生き延びてきて、このようなアンケートで評価していただいたということは、時代が変わったということでしょう。でも、勘違いはしていませんからね」

—ただ、同時に苦言もありまして・・・。

「目付きでしょ」

—他に、話し方が・・・。

「オカマっぽい(笑)。たまに自分が出ているテレビを見ても、『これじゃ、ウケないよなぁ』って思いますからね。言い訳させてもらうと、話し方については失言しないように気を付けると、ついああいうふうになってしまうんですね。改善の努力はしております」

意外に人気の細野豪志

 ついで、2位が民主党から野田佳彦財務相。こちらは有識者5票、政治記者3票で計8票を得た。とかく「財務省の言いなり」と言われることの多い野田氏だが、その財務省とのパイプを評価する声が多かった。

「霞が関を動かしている財務省内の信望が厚い。現在、政府内では将来の日本にとって大きな課題である『税と社会保障の一体改革』の議論を進めているが、野田氏であれば、その政策の継続性も担保される」(全国紙政治部デスク)

 また、大連立を前提とした場合、自民党から反論が出にくいと予想されることや、民主党内でも敵が少ないことが得票につながったようだ。

「次期総理は(1)党内融和(2)野党(大連立対象政党)との信頼関係(3)パフォーマンスや人気ではなく、着実にかつ堅実に対策・政策実現に取り組む人材などが条件。野田氏はバランス感覚、安定感がある」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)

 今回の内閣不信任案騒ぎは、被災地の人々そっちのけで内輪揉めに精力を費やす民主党はもちろん、不信任案を提出した谷垣自民党に対しても、国民から批判の声が上がった。

 大連立になるにせよ、民主党政権が続くにせよ、永田町内のつばぜり合いはもうたくさんだというのが、多くの国民の本音。石破氏や野田氏のように地味な存在ながら、着実に政治を前に動かしてくれそうなタイプが求められていることがわかる。

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 一方で、現在のような国難の時期だからこそ、老獪さや強引さが必要だという理由で名前が挙がったのが、仙谷由人官房副長官(6票)や亀井静香国民新党代表(6票)、小沢一郎元民主党代表(各4票)である。

 仙谷氏を推す人たちは、その老獪さを評価する。

「自民党と大連立するなら、若い人ではなく、政治経験が豊富で老獪な人でないと難しいだろう。官房副長官としてこれまで震災以降の対応にもかかわってきたし、官僚からも信頼されている。あくまで震災対応のワンポイントリリーフとしては適任ではないか」(岩井奉信・日本大学教授)

 亀井氏については、毎日新聞客員編集委員の岩見隆夫氏が語る。

「この非常事態下、日本の政治を束ねることができる親分的風格、器量、構想力、勘の良さ、執念、経験の持ち主は亀井氏だけ。いま求められるのは若さより老練の知恵だ」

 一連の騒動で完全に失墜した感のある小沢氏に関しては、いまの政治状況を打破するために、「破壊力」に期待するという声があった。ジャーナリストでBS11キャスターの鈴木哲夫氏が言う。

「不信任案可決に向けて、70人以上の人数を集める求心力、乱世のこの時期に、小沢氏のアクの強さと破壊力、決断力に賭けるしかない。ただし、小沢氏の永久政権などとは思っていない。古い馴れ合い政治をブチ壊し、更地にして後は若い者にバトンタッチするための総理である」

 では、民主党内の「若い世代」であり、メディアでもポスト菅に名前が挙がる前原誠司前外相、枝野幸男官房長官に対する評価はどうか。

 前原氏は仙谷・亀井氏に並ぶ6票を集め3位。外交力には定評があるが、復興や原発事故への対応能力が未知数なことや、外国人献金問題で外相を辞任して間もないことがマイナス要因となった。また、有識者の間では評価されても、政治記者からはわずか2票しか得られなかったのも響いた。

 在京キー局の政治部デスクは、こう語る。

「小沢氏と渡部恒三最高顧問の誕生会にわざわざ出向いていって、結局は二人にダシに使われただけ。政治センスがない。それに思い付きの発言が多く、一国の総理としては軽すぎる」

 もっとも、前原氏には後見人として仙谷氏がついており、この「3位連合」が実現すれば、一気にトップに躍り出ることになるのだが・・・。

 対して、福島第一原発事故の連日の記者会見で一気に知名度を上げた枝野氏だが、結果はわずか2票。

 その理由を、ある政治ジャーナリストが解説する。

「自民党が求めている原発事故の本格的な調査委員会ができると、菅総理や枝野氏が事故直後の対応で間違ったり、嘘をついていなかったかということも問題になる。自民党は調査委員会には証人喚問要求や罰則を与える権限も持たせたい考えで、その対象者となる枝野氏は調査が終わるまでは、総理ポスト争いには加われない」

 残念ながら有識者で枝野氏を推した人はゼロ。先月20日に発表された時事通信社の「次の首相にふさわしい人」では、石破氏に次いで2位につけた枝野氏(ちなみに3位は前原氏)だが、一般人気とは乖離した結果になった。

 ほかに票を集めたのは、渡辺喜美みんなの党代表(4票)や、岡田克也民主党幹事長、原発事故対応を任された細野豪志首相補佐官(3票)など。

 渡辺氏は「名前の挙がる総理候補たちは、ほぼ増税志向」(元内閣参事官・高橋洋一氏)といった、増税不要論の論客からの支持を集めた。岡田氏については、政治記者たちが「小沢一郎との訣別に信念を持っている」「小沢を軸に古い永田町の論理が復活しているぶん、岡田の原理主義が必要」というように、脱小沢を支持する人たちの評価を得た。

 そして、民主党内の若手のホープといわれる細野氏は、やはりその若さに期待する声が多かった。

「国民がわかる言葉で話すことができるのが彼の武器。福島第一原発事故では、工程表が必要だと最初に主張したし、(尖閣問題で)密使として中国側と接触した経験もある。この難局に若者を挑戦させよ」(名古屋大学大学院特任教授・春名幹男氏)

 ジャーナリストの田原総一朗氏や政治ジャーナリストの後藤謙次氏という〝玄人筋〟も細野氏を推した。

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