北京のランダム・ウォーカー

「重税国家ランキング世界2位」中国を揺らす「税金論争」

税収の8%が税務署職員のフトコロに消える官僚国家

2010年07月26日(月) 近藤 大介
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 日本では、菅直人首相が「消費税10%」をブチ上げて参院選で"沈没"したが、こちら中国でも、いま税金を巡る論議が、ホットになってきた。

 きっかけは、中国政府が先日、次のような発表をしたことだった。

「今年上半期(1~6月)の税収は、前年同期比27.6%アップの4兆3349億元に達した。この勢いが続けば、2010年をトータルすると、税収は8兆元を超える見込みである。昨年の税収が6兆3000億元だったので、仮に今年の税収が8兆元とすると、前年比で27%アップとなる。これにより中国は、アメリカに次ぐ世界第2位の税収大国となる」

 1元は約13.1円なので、8兆元と言えば、約105兆円に上る。日本の今年度予算では税収は37.4兆円なので、実に日本の2.8倍の税収が見込めるということだ。税収そのものもさることながら、前年比27%アップという数字も、日本では考えられない(日本は概算で1.4%アップ)。誠に隣の大国が、羨ましい限りである。

 ところが、中国政府が「朗報」として発表したはずのこのニュースが、国民の怒りを買ってしまったのだ。中国の庶民からすれば、「それほど潤沢な税収が見込めるなら、なぜ減税しないのだ!」というわけだ。

 社会主義を標榜する中国では、以前はお気楽な「中国式税制」を敷いてきた。1985年当時、都市の市民の平均月収は、60元。これを単純に12倍して、ボーナスも少し加味し、個人所得税は、年収800元以上になって初めて納付義務を持つと定めた。早い話が、都市の市民の半数以上は、所得税ゼロだったのだ。

 それが江沢民時代の1994年に、税制の抜本改革を行った。国税と地方税とを分離し、合わせて「中華人民共和国増値税暫行条例」と「中華人民共和国消費税暫行条例」を施行した。

 増値税とは付加価値税(日本の消費税に近い)のことで、消費税とは嗜好品税(贅沢品税)のことである。ちなみに、どちらの法律にも「暫定」とあるが、16年経ったいまもなお、「暫定期間」は継続しており、この国においては、暫定=半永久的を意味するようだ。

 ともあれ、旧き良き時代はとうに過去のものとなり、中国はいまや、世界に名だたる「重税大国」に"成長"した。米『フォーブス』誌の「2009年重税国家ランキング」によれば、中国はフランスに継いで第2位を頂戴している。

 何せ、主要な税金だけで、増値税、消費税、営業税、企業所得税、個人所得税、資源税、都市土地使用税、都市不動産税、都市維持保護建設税、耕地占用税、土地増値税、車輌購置税、車船税、印紙税、契約税、タバコ税、関税、船舶重量税、固定資産投資方向調整税と19種類もあるのだ。

次ページ  しかも、例えば増値税の基本税…
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