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深層レポート
やはりハゲタカか、アレバ社が狙う「さらなる旨み」

「531億円の汚染水処理」に落とし穴!
3月31日、アンヌ・ロベルジョンCEO(左)は、海江田万里経産相と会談。事故処理への援助を申し出た

 この仏企業が手がける六ヶ所再処理工場は、当初予算の3倍ものカネを注ぎ込みながらいまだ完成せず!同じ事態がフクシマでも起きるのではないか?

 東電は、福島第一原発の事故収束に向けた工程表で、汚染水を処理して原子炉への注水に再利用する「循環注水冷却」による冷温停止を来年1月中旬までに達成するとしている。そのための費用を、汚染水の総量25万tで531億円と見込んでいるが、それだけで済まないのは確実だ。

 というのも、『アレバ』社の技術による処理の過程で発生する〝大量の放射性物質を含んだ沈殿物〟を処理する費用は、ここに含まれていないからだ。そして『アレバ』は、「さらなる旨み」であるこの沈殿物処理を狙っている―。

放射性廃棄物は「別契約」

 東電によれば、現在、約10万5000tの高濃度汚染水が原発施設内に溜まっており、さらに、損傷した格納容器から注水作業によって漏れ出る分として、1日530tの汚染水が発生している。この汚染水を集中廃棄物処理施設に移し、油の分離、放射性物質の処理、淡水化処理をした後、再び冷却水として原子炉に注水するのが「循環注水冷却」だ。

 本格稼働すれば、1日1200tを処理することが可能だとされる。『アレバ』は同施設の中核となる除染装置と蒸化器の技術を提供している(3ページの図参照)。放射性物質を薬品と結合、沈殿させ、上澄みを取ることで、セシウムやヨウ素の濃度を最終的に1万分の1に低下させるという。

 しかし、彼らの真の狙いは、いまだ処理方法が決まっていない「沈殿物の処理」、さらに、燃料貯蔵プールに1万本以上が放置されていると言われる「使用済み核燃料の処理」なのだ。

 こうした意図は、彼ら自身の言葉からも明らかだ。BSフジの『PRIME NEWS』(5月20日放送)に出演した際、『アレバ』日本法人のレミー・オトベール社長は「私たちの契約はこの設備を提供することです」と説明した上で、次のように言っている。

「第1の契約は(汚染水から放射性物質を)分離して、もう一度(冷却水として)問題なく使えるようにすることです。沈殿物を処理し、固化し、ストック可能にするというのは、第2段階です」

アレバが技術提供を行った除染装置。処理によって放射性物質を含む沈殿物が約2000立方メートル出る見込みだ

 つまり、東電とは汚染水処理の契約をしているだけで、放射性廃棄物の処理の契約は結んでいない。

淡水化システム。このうち蒸化器には『東芝』だけでなく『アレバ』の技術が一部で使用されている

 『アレバ』が廃棄物の処理も行うことになれば、さらに別の契約、つまりはカネを請求されることになる。531億円で汚染水はきれいに片付くと思いきや、落とし穴があったのだ。国際ジャーナリストの世良光弘氏が言う。

「『アレバ』は株式の9割をフランス政府が所有している〝国策企業〟で、世界最高水準の処理技術を持っているのは事実です。だからこそ、値段交渉も含めて強気の交渉ができます。結局、(放射性廃棄物の処理についても)東電は頼らざるを得ないでしょう」

 そして同社長は、『電気新聞』(5月19日付)でさらなる提案も行っている。

「燃料貯蔵プールの水や燃料棒の状態を把握するため、小型の機械で調査する必要がある。(中略)燃料棒を保管し、それから再処理するために輸送することになる。要請があれば、これらの作業を当社が請け負える」

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