長谷川幸洋・東京新聞論説委員 インタビュー vol.2 「民主党政権の『内ゲバ』と狙われた日本経済」

vol.1 はこちらをご覧ください。

田原 菅直人首相が消費税を10%に、と言った責任はマスコミにもあると思います。

 朝日新聞も、読売新聞、日経新聞、産経新聞、みんな賛成していた。長谷川さんが社説を書いた東京新聞は違いますが、読売新聞なんてはじめから大賛成だった。

 財務省が仕掛けたっていうけれど、菅さんはみんなマスコミがOKしてるから、つい「これが常識なんだ」と思ったんでしょう。

長谷川 それはおおいにありますね。役人は菅さんを元気づけるために、「総理、昨日発表された総理のご発言は各紙の社説でみんな賛成してますよ」と励ました。それは違いない。

田原 なぜ日本の大新聞ってそんなにだらしないんですか?

長谷川 やっぱり官僚が情報源になっているからですよ。特に財政問題は財務省ですからね。役人が自分のオフィスまで来てくれて懇切丁寧に説明し、「必要があればなんなりといつでも資料を持って参上します」などと主計官に言われれば、喜んじゃう論説委員が多いんですよ。

田原 そうなんですか?

長谷川 多いです。

役所からのペーパーは裏をとらない

田原 とっても基本の問題だけど、マスメディア、ジャーナリズムは自分で取材しなきゃいけない。だからもし財務省からペーパーをもらったり、あるいは話を聞いたら、裏付けをとらなきゃいけない。それをやんないですか?

長谷川 役所から出してくるペーパーは丸のみですよ。書かれていることについては裏取りみたいな作業はしませんね。

田原 でも東京新聞だって体質は似たようなものでしょう。普通、長谷川さんみたいな人が新聞社にいると、飛ばされるんですよね。なんで東京新聞では飛ばされないの?

長谷川 とてもイイ質問です(笑)。

 僕も最初の頃はある種の覚悟をしながら、ものを書いたり、言ったりしてきたんです。

 ところが幸いなことにわが社はトップが「キミ、勝手にやれ、好きなようにやれ。そのかわりエラくしないから」と(笑)、言ってくれた。

田原 なるほど。コミュニケーションうまくいってるわけだ。

長谷川 まあそうですね。今は役員に定期的にブリーフしてます。さきほどの増税問題が典型ですけども、普通の国民から見たら「私たちに負担を言う前に政府、国会がしっかりやってくれよというのは普通でしょ」と幹部に言うと、「それはそうだよね」と僕の議論に了解してくれます。

 むしろ、違和感というか反発があるとしたら現場のほうなんですよ。

田原 そこなんです。現場は財務省とか経産省に取材に行ってるわけだ。事細かに聞いてる。だから「長谷川なんてろくにものを知らない」となる。

長谷川 まったくその通りです。

 そういう声はたまに聞きます。財務省とか、あるいは日銀の現場の記者からね。さすがに最近は僕がぶっとんでいるのがわかってるので、もう言っても無駄だとなってますね。

田原 よくそれにもかかわらず、トップが「好きなようにやってくれ」と言いましたね。

長谷川 そこは僕も感謝してるんです。わが社は自分でいうのもなんですけど、他の大手に比べたら弱小新聞です。本家は名古屋だし。だからこそ、メインストリームではないがゆえに、異端の意見も受け入れていくということかもしれないですね。

 これがもしわが社が日本最大の新聞だったら、そうはいかないんじゃないですか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら