滋賀県に本部を置く地場スーパーマーケットの平和堂が、中国・湖南省に進出したのは1998年のことだった。
それから十数年を経て、いまや高級百貨店を3店舗営業中。
中国で事業をはじめる苦労、そして成功の秘訣とは?
中国人社員を日本に呼びよせて接客の研修
「中国人はプライドが高いですから、人に頭を下げるのが得意ではないんです」
夏原平和・平和堂社長は中国人の国民性をこう話す。同社は滋賀県彦根市を拠点として、関西、北陸、東海でチェーンストアを展開している。そんな地場スーパーが1998年に中国、しかも湖南省という内陸部にいち早く進出した。そして現在、同省内に3つの百貨店を擁し、「高級品を買うなら平和堂」といわれるほど、圧倒的な信頼を得ている。
成功のポイントは、いったいどこにあったのだろうか。
「一番は、お客さまを大切にという『お客さま第一主義』です。お客さまに喜んでいただくというのがウチの創業の原点で、その理念は日本であろうが中国であろうが、変わることはありません。
中国でも、その理念を理解してもらうための社員教育を日本と同じように行っています。ただ、日本でしていることをそのまま中国に持ち込んでも、プライドの高さが邪魔をしてうまくいきません。
『いらっしゃいませ』『ありがとうございます』という言葉を、ほんとうに心からいえるようになるためには、論理的な説明が必要なのです。
たとえば、夏は暑い中、冬は寒い中、雨の日は濡れながら、お客さまはわざわざお店に来て、買い物をしてくださる‐。だから、それに感謝して『いらっしゃいませ』と頭を下げましょう。そして、お客さまが使ってくださったお金がわれわれの給料になっているのだから、『ありがとうございます』と頭を下げて感謝しましょう、という具合です。
湖南省で事業をはじめるにあたっては、中国の日本語学校で学ぶ30名を採用して約8ヵ月、次いで50名を採用して約3ヵ月、それぞれ日本で研修を行いました。これが湖南省の店を成功させる原動力になったと思います。
なつはら ひらかず1944年、滋賀県生まれ。1968年、同志社大学を卒業後、平和堂に入社。1989年に社長に就任。平和堂の社名の由来は、創業者である父親・夏原平次郎氏が息子の名前とピースの意味をふまえて即決したという 〔PHOTO〕竹中稔彦(以下同)
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