仙谷、海江田、原口との会談からみえた「続投」「退陣」「解散」3つのシナリオ
「菅おろし」はおきるのか

 参院選挙直後の一週間に、海江田万里衆院財務金融委員長(7月12日夜)、仙谷由人官房長官(14日夕方)、原口一博総務相(15日夜)、そして鈴木宗男新党大地代表(16日夜)それぞれから長時間、話を聞く機会を得た。

 海江田氏は民主党内の鳩山(由紀夫前首相)グループに属し、小沢一郎前幹事長とも太いパイプを持つ有数の税制・財政の専門家である。9月の党代表選挙後に予定される執行部人事で次期幹事長の有力候補と目されている。

 仙谷官房長官は、言うまでもなく、菅直人政権の新成長戦略、普天間基地問題、2011年度予算概算要求・編成、そして衆参院ねじれとなった国会対策まで一手に担う官邸の司令塔である。

 原口総務相は、菅政権にあって菅・仙谷・枝野(幸男幹事長)の新トロイカ体制から一定の距離を置き、かつ代表選挙で小沢氏が菅首相の対抗馬として担ぐのではないかと見られる次世代リーダーのひとりだ。

 また、鈴木氏は民主党外にあって最も小沢氏に近く、今後の出方に注目が集まる同氏の肉声を唯一聞ける人物である。

 要は、各氏ともに参院選挙後政局のキーパーソンということだ。それぞれオフレコ懇談であったので、ここで各人の発言を紹介できない。しかし、懇談内容を踏まえての今後の私的見通しの披見であれば、許してくれるだろう。

 今後の政局展開は、概ね三つのケースに要約できる。

(1) 菅直人首相は、7月30日召集の臨時国会で参院の議席確定と同時に選出される参院議長、それに伴う民主党参院執行部人事で小沢サイドに大幅譲歩し、何とか代表選挙に臨み、対立候補が誰であれ再選をめざす。即ち、政権維持である。

(2) 参院選挙大敗によって党内の求心力が低下したうえ、責任論がくすぶり続ける中で秋のねじれ国会での予算審議などで政権運営の見通しが立たず、代表選挙出馬を見送らざるを得なくなる。つまり、菅退陣である。

(3) 「脱小沢」でスタートした菅首相はさらに"小沢切り"を決断し、代表選挙直前に「政界再編」を前面に押し立てて衆院解散・総選挙に踏み切る。リスクはあるが、「小沢チルドレン」の過半は落戦の憂き目に遭うなど大幅な議席減となっても衆院過半数を確保できれば、「直近の民意」を得たとして菅イニシアチブによる自民党との政策パーシャル連合を目指す――。

 それぞれのシナリオにはもう少し細かなバリエーションがあるが、荒っぽく言えば、政権維持、菅退陣、解散・総選挙の三つである。

「三木おろし」の再現なるか

 現時点では、菅首相が代表選挙に出馬できない事態になる可能性は少なくないと見ている。

 もちろん、権力の座にいる者を引きずり降ろすには大変なエネルギーが必要だ。ましてや代表選挙で新代表を選ぶということは、3ヵ月余でわが国の首相が代わるということである。

 5年4ヵ月続いた小泉純一郎政権以降、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、そして菅直人といった歴代の日本の最高指導者が年替わりメニューよろしく今秋にも代わることが、どれほどわが国の国益を損ねることになるか。

 しかし政治権力闘争というものは、一般人では窺い知れぬほど熾烈なものである。

 ロッキード事件が発覚・田中角栄元首相が東京地検特捜部によって逮捕された1976年当時が想起される。

 自民党の主流派の田中派、福田派、大平派が結成した挙党協があらゆる手立てを講じて行った"三木降ろし"も最後は不発に終わり、同年12月の任期満了総選挙で自民党は結党後初めて衆院過半数割れになり、三木首相・総裁は退陣に追い込まれた。

 三木後継の福田赳夫首相は後に大平正芳幹事長との「40日間抗争」を繰り広げたのだが、福田政権誕生直後に大平幹事長は、自民党離党・結成の新自由クラブとの連携を実現、国会運営を凌いだ。このとき初めて、大平氏が当時の社会党を含め野党に対しパーシャル(部分)連合を提唱したのである。

 歴史は繰り返すというが、当時の"三木降ろし"が現在の"菅降ろし"になるのか。だが小沢氏ひとりでは、当時の挙党協にはなり得まい。

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