日高屋 神田正会長 貧乏が生んだ"逆転の発想" 転職15回、5坪のラーメン店から始めた青年が売上高227億円の大チェーンを築いた

2010年07月23日(金) FRIDAY
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人気は「ニラレバ炒め」490円(左手前)と「ハイボール」260円(左奥)、看板メニューである390円の「中華そば」。味の開発は高橋均社長が担当(右)

 そのことに気付くヒントになったのが、 '75年頃に大宮駅でよく見かけるようになったサラリーマンの姿だ。

「以前は弁当を片手に持って会社に出勤するサラリーマンをよく見かけた。それが弁当の代わりに、週刊誌などを持つようになった。弁当を持参しない人は、当然、会社の外で昼食をとります。

 また、帰りが遅くなれば、やはり会社の外で夕食をとります。昼は昼、夜は夜で、そういうサラリーマン客向けに、安くて手軽なラーメンを提供すれば、何も郊外に大型店を出店する必要などないと思ったんです」

郊外よりも都心一等地

 神田氏の狙いは当たった。というのも、 '80~ '90年代に入ると、マクドナルドや吉野家といったチェーン店が、駅前一等地への出店を加速させていき、駅前が商売の中心になっていったからだ。だが、家賃が高く、商品の価格を下げられなかったラーメン店は、苦戦を強いられる。

 ファストフードの何倍もする価格のラーメンでは、対抗できなかったのだ。そんな中、神田氏がとったのは、またもや逆転の発想だった。マクドナルドや吉野家に対抗するのではなく、そのやり方をそっくりマネてしまったのだ。

「ファストフードの一番の強みは、安さです。かりにラーメンがファストフードと同じような価格帯で提供できれば、ファストフードの客がウチに流れ込んでくる。そう思ったんです」

 それを実現したのが、 '02年から東京・新宿に出店を開始する現在の日高屋なのである。家賃は坪5万円で、月に200万円を超える金額だったが、売り上げは月2000万円と平均的な店舗の2~3倍に達した。

 さらに、490円で提供していた看板メニューの中華そばを390円に値下げすると、マクドナルドや吉野家に通っていた客が日高屋へと足を運ぶようになった。「朝はハンバーガー、昼は牛丼、夜はラーメン」といったように、それぞれの店舗がサラリーマン客で共存共栄できるような流れができたのだ。

次ページ  神田氏は、さらに、出店の際の…
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