北朝鮮のHP「ネナラ」を読む

米朝国交正常化で日本は置いてけぼりになる

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)情勢に関する分析は、情報がないので難しいという間違えた常識がある。実際のところ、北朝鮮に関する情報は日本語でかなり入手できる。
例えば、北朝鮮政府の事実上のHPであるウエブサイト「ネナラ(朝鮮語で”わが国”の意味)」の日本語版を見れば、誰でも北朝鮮情勢分析のために必要な基本情報を入手することができる。

 北朝鮮は元旦に3紙共同社説を掲載する。この社説は、金正日の決裁を得て掲載されている。従って、この記事を注意深く読めば、北朝鮮の意図がわかる。3紙とは、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」、朝鮮人民軍機関紙「朝鮮人民軍」、金日成社会主義青年同盟機関紙「青年前衛」だ。朝鮮政府機関紙の「民主朝鮮」が含まれていないことに注目する必要がある。

 北朝鮮では、政府は労働党、人民軍の指導下にあるということだ。従って、拉致問題や日朝国交正常化交渉に関しても、政府機関である外務省を窓口にしてもらちが明かない。鳩山首相官邸が、労働党、人民軍と直接チャンネルをつくらないと、交渉が先に進まない。 3紙共同社説で、興味深いのは米朝関係に関する以下の言及だ。

<今日、朝鮮半島と地域の平和と安定を保障するうえでの根本問題は、朝米間の敵対関係を終息させることである。対話と協商によって朝鮮半島の恒久平和体制を築き、非核化を実現しようとするのはわれわれの一貫した立場である。わが党と共和国政府は自主、平和、親善の旗を高く掲げ、諸国間の善隣友好関係を発展させ、世界の自主化をめざして力強くたたかうであろう。>(1月1日「ネナラ」)

 北朝鮮は、独自のタイムスケジュールをもっている。2012年が故金日成主席の生誕100周年で、この年に後継体制に移行することを北朝鮮は考えていると見られる。そのために、北朝鮮が必要とするのは、米国による金王朝に対する安全保障だ。今年の3社共同社説では対米批判が抑制されている。<対話と協商によって朝鮮半島の恒久平和体制を築き、非核化を実現し>、そのことによって<朝米間の敵対関係を終息させる>というシナリオを北朝鮮はもっているのだ。