オトコの病気新常識 著者:伊藤隼也
01 前立腺炎


 精巣や会陰(えいん)部、下腹部の周辺などに何となく痛みや違和感がある。トイレが近く、残尿感がある——こんな症状で泌尿器科に駆け込む男性は多い

『オトコの病気
新常識』

著者:伊藤隼也
講談社
定価1,575円(税込)
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原因不明の前立腺炎が増えている

 精巣や会陰(えいん)部、下腹部の周辺などに何となく痛みや違和感がある。トイレが近く、残尿感がある——こんな症状で泌尿器科に駆け込む男性は多い。それもそのはず、北海道のある町で実施された調査によると、こうした症状が「ある」と答えた男性は、全住民のおよそ8%にも及んだという。

炎症かどうかはっきりしない「慢性非細菌性前立腺」

 実は、前述した症状は、前立腺炎があるときによくみられるものだ。前立腺炎とはその名の通り、前立腺が何らかの理由で炎症を起こした状態で、尿検査や直腸診(肛門から指を入れて直接前立腺に触れる)で診断される。

 前立腺炎はその原因や症状の経緯などにより、カテゴリーⅠからカテゴリーⅣの4種類に分類される(表参照)。このなかでとくに多く、患者の9割以上を占めるといわれているのが、カテゴリーⅢの「慢性非細菌性前立腺炎」だ。

 細菌の感染によって生じるカテゴリーⅠの「急性細菌性前立腺炎」やカテゴリーⅡの「慢性細菌性前立腺炎」とは違い、患者が多いにもかかわらず、このカテゴリーⅢは、現代の医学をもってしても原因がはっきりと分かっていない。当然、病院で処方された薬を飲み続けても症状は一向によくならず、さまざまな病院を転々とする患者も決して少なくない。

前立腺炎
前立腺は膀胱の下部に尿道を取り囲むように位置する男性特有の臓器で、栗の実のような形をしている。精液の一部を作るはたらきがある。1999年にアメリカの国立衛生研究所(NIH)が発表した分類により、前立腺炎は左の表のように分けられている。

前立腺針生検
前立腺がんの検査方法の一つ。肛門から直腸に細い機器を挿入し、超音波で前立腺を観察しながら、がんが疑われる部位に針を刺して組織を採取。染色してがん細胞の有無を調べる。 東京慈恵会医科大学附属青戸病院泌尿器科診療部長の清田浩医師は、この不可解な病気をめぐる状況について、アメリカで行われた研究の例を挙げながら説明する。

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