経済の死角

税務署は狙っている! ある朝、マルサがやってきた(前編)

2010年07月16日(金) FRIDAY
friday
upperline

 国税は、銀行口座を洗い、内偵し、証拠を固めてある日突然やってくる。埼玉にあるデータセンターには、あらゆる税務情報が蓄積され、その情報力は警察以上。いったん狙われたら、もう逃げられない―。

第1部 懺悔告白 我が家にマルサがやってきた

 六本木ヒルズD棟16階の自室のドアを開けたら、スーツ姿の男たちが部屋の中を動き回っていました。

全国5万6000人の国税職員を束ねる東京・霞が関の国税庁

 それが、国税の査察官たちでした。

「磯貝清明さんですね」

 そのうちの一人が捜査令状を突き付け、それから夜9時まで延々と捜索が続いたんです。僕は呆然と見ていることしかできませんでした。

 査察官たちはPCデータのダウンロード担当、ある人は郵便物担当というように、手分けして作業していました。銀行通帳が何冊あるかも、あらかじめすべて調べられていたようで、

「〇〇銀行の通帳は見つかったか? なんで見つからねぇーんだッ。よく探せっ!」

 と統括官が部下たちを怒鳴りつけていました。

 国税最強の調査部門として恐れられる査察部、通称マルサ。その実際の調査・活動内容とはどんなものなのか。本誌は実際にマルサに踏み込まれた経験を持つ2人の人物にインタビューを行った。

 最初に登場するのは磯貝清明氏(33歳)。産廃業の傍らFX(外国為替証拠金取引)を始め、一時は10億円以上もの利益を得たが、所得申告を怠り、マルサのターゲットとなった。六本木ヒルズにあった自宅マンションを急襲されたのは'08年10月9日の朝、8時である。

 磯貝氏は激しく鳴らされるインターホンに異変を感じ、いったんは裏口からマンションを脱出したものの、鳴り続ける携帯電話に観念して部屋に戻ったところ、冒頭の光景に遭遇した。

彼女の部屋まで踏み込む

 やってきたマルサ軍団は統括官をトップに事件担当が2人、全部で16人でした。

次ページ  家宅捜索では、書類や未開封の…
1 2 3 4 5 6 7 8 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事