江田五月参議院議長「続投阻止」に反対した公明党「連立への色気」
早くも野党の足並みに乱れ

 民主党が江田五月参院議長を交代させる方針を固めた。後任には14日現在で輿石東参院議員会長や西岡武夫議院運営委員長が候補に浮上している。

 江田議長は先の通常国会終盤で、菅直人首相と荒井聡国家戦略相の問責決議案や議長自身に対する不信任決議案を本会議を開かずに廃案とするなど、慣例に反する強引な国会運営を繰り返した。

 それで自民党やみんなの党が参院選投開票の直後から「江田議長の続投は認められない」と強く反発していた。

 議長は比較第一党が出す慣例があるものの、1993年には野党8党が共闘して第一党の自民党からの選出を阻止し、土井たか子社会党委員長(当時)を選んだ例がある。

 今回も参院で過半数を占めた野党各党が結束して反対すれば、江田議長の続投を阻止できる環境にあった。

 ところが舞台裏では、今後の政局展開を先取りするような興味深い駆け引きが繰り広げられた。野党間の足並みが乱れたのだ。

 自民党やみんなの党が議長交代を求めたのに対して、反対したのは公明党である。同党の山口那津男代表は「党派性を表して議長を取り合うのは避けるべきだ。比較第一党が要職を占めるルールは確立している」と語った。

 これに社民党が同調する。重野安正同党幹事長は「議長は第一党から出すのが常識だ」と公明党と足並みをそろえた。これをみて民主党が議長交代に応じるものの、議長ポストは死守する妥協策で早期収拾を図ったというのが経緯だ。

 今回の動きは、民主党が模索している「政策ごとの連携」構想に直結するかもしれない。公明党が民主党に再接近を図っている気配が濃厚なのだ。

 永田町には「公明党は民主党との対決ムードを演出してきたが、今回の選挙結果を受けて方針転換するつもりではないか。公明党の動き次第で政権のキャスティングボートを握れる、と踏んでいるのだ」(野党幹部)という見方が出ている。

生き残りを模索する社民党と国民新党

 民主党の議席数は非改選を含めて106、公明党は19。両党合わせて125議席となり、過半数(121)を4議席上回る。ということは民主、公明の連携が実現すると、国民新党(3)も最近まで連立パートナーだった社民党(4)も必要ないことになる。

 社民党が議長交代に反対したのも「連立政権に未練たっぷりということだ」(同)とみられている。

 一方、国民新党の亀井静香代表も動いた。

 亀井は社民党と衆参両院で統一会派結成を呼びかけた。社民党が応じれば、衆院の勢力分布は国民新党・新党日本が4、社民党・市民連合が7で計11議席になる。

 民主党・無所属クラブの307と合わせると318議席になって、欠員の2議席と議長を除くと、衆院での再議決に必要な3分の2をちょうど確保する形になる。

 こちらもまた、衆院再議決の際にキャスティングボートを握ろうとする動きである。

 国民新党は郵政民営化見直し法案の可決成立が最優先だ。参院では民主党、国民新党に社民党を加えても過半数に届かないので、このままでは見直し法案の成立はあきらめるしかない。

 そうであったとしても、国民新党とすれば、もしも民主党が国民新党を見限って公明党との連携に動けば、それで参院は過半数に達してしまい、国民新党の影響力が著しく減じてしまう。そういう事態を少しでも牽制するために、必死で生き残り策を模索している。

 以上をまとめると、やはり公明党の動きが鍵を握る。

 もしも公明党と民主党が連携すれば、参院で過半数を握るうえ、衆院でも再議決に必要な3分の2を確保してしまうのだ(公明党は衆院で21議席)。

 山口代表は「民主党にレッドカードを」と叫んで参院選を戦い、民主党との連立も繰り返し否定してきた。ところが今回の議長人事への対応をみると、本気でレッドカードを突きつけるのかどうか、あやしくなってきた。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら