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「弘済」という言葉の本来の意味は、人々を広く救済することだそうだ。だが、前原誠司国土交通相が「3年以内の解散」を華々しく打ち出し、新聞各紙が大々的に報じた建設弘済会の救済対象は、国交省の役人とその家族だけだった。

 建設弘済会は、国交省の発注業務をほぼ独占的に受注している公益法人。東北から九州まで8つある地方整備局の下に各一ヵ所、九州にはもう一ヵ所あり、名称は地域ごとに○○弘済会、△△建設協会などとなっている。これら9つの公益法人に計4358人の職員がいるが、そのうち548人が国交省OBの天下りだ。

 国交省関係者は、後顧の憂いがないよう手厚く面倒を見る→そのために公共事業が割高になる→税金負担が増える国民にとってはいい迷惑―。そんな建設弘済会にも、いよいよ年貢の納め時がきたわけだ。

 だが、報道と現実はやや異なっている。前原国交相は7月6日の会見で、威勢よく廃止を表明したように報じられているが、実際の記者会見では、「基本的にはこの建設弘済会を解散する方向で指示をし、その考え方がまとまったので公表させていただくところでございます」と、「基本的には・・・方向で」とかなり役人的なあいまい表現になっている。

 実は、この話には過去の経緯がある。2年ほど前、道路特定財源にかかる暫定税率の維持・廃止が大きな政治問題化した中で、道路特定財源でマッサージチェア等を購入したムダづかいが問題になった。

 当時の衆参のねじれ状況の中で、福田政権は暫定税率を維持したかったが、民主党は廃止を主張していた。そこで、冬柴鉄三国交相は、天下り問題への対処も兼ねて、道路関係公益法人を半減する方針を打ち出した。その中で建設弘済会については、民営化が5年計画で進められることとなった。

 ところが、建設弘済会は天下り役人OBの巣窟だから独自の技術力はない。国交省の発注業務を独占的に受注し、ピンハネして民間に丸投げしてきただけの組織だ。発注業務というのは、公共事業の発注をする際にその積算などの計算を補助するもので、天下り役人OBでもそれくらいはできそうなものだが、それすらできない。

 そのため、公共事業を受注したい民間会社から出向職員を受け入れ、彼らに積算をやらせている。従って、民営化などまるで進んでいなかった。

 一方、建設弘済会に出向した民間企業の職員は、横柄な天下り役人OBからこき使われて不満たらたらであるが、親元の民間会社からは「公共事業の受注のためには、天下りサンの言うことを聞いて我慢しろ」と命じられ、両者の板挟みで苦労するらしい。

 とはいえ、民間会社にしてみれば、公共事業がとれるなら、国交省から建設弘済会への天下りの給料を負担したり、そこに社員を派遣したりするのは安い投資だった。

 だが、公共事業そのものが減少する中で、建設弘済会を介在させるうまみは減った。残り3年に迫った民営化も、まったくメドは立っていない。つまり、組織の解散は当然の成り行きだったのである。

 なんのことはない。前原大臣はこうした事情を巧妙に利用して、あたかも天下り組織に大なたを振るうかのようにアナウンスしたのだ。要するに参院選対策である。どうりで、役人用語連発で歯切れの悪い会見だったはずだ。まんまと乗せられて、前原大臣の立派な決断であるかのごとく書いた新聞記者のみなさん、ご苦労様でした。



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