牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」
2010年07月15日(木) 牧野 洋

W・モズバーグインタビュー(後編)「消費者本位の記事はこれからも増え続ける」

子供のためにアメリカ最強のITコラムニストに転身

upperline

前編 はこちらをご覧ください。

――コラム「パーソナルテクノロジー」は消費者本位の視点を売り物にしています。今では同様のコラムはたくさんありますが、1991年にスタートした時点では異例でした。なぜそうしたのですか。

モスバーグ 1991年当時、IT関連のコラムはすでにたくさんあった。ただし、ITを崇拝するマニアがマニア向けに書くコラムばかりだった。

 ぼく自身がパソコンを個人的に使い始めたのは1981年ごろ。IBM製の元祖パソコンがちょうど登場したころだ。それから数年後にはパソコン通信も始めた。パソコン通信大手のコンピュサーブを覚えている? パソコンの黎明期だった。

 パソコン時代が幕開けしようとしている時に、すでにパソコンをかなり使っていたわけだ。そんなことから、パソコン雑誌向けにアルバイト原稿を書くこともあった。パソコンにはまっていたと思う。

 パソコンの使い方を知るためだけに何千時間も自分の時間を浪費してきた――ある時、こんな思いが頭をよぎった。パソコンは一般の利用者が使うには難し過ぎた。パソコンを使っていてトラブルに見舞われると、パソコン通信の電子掲示板を使ってよく情報交換したものだ。

 当時のパソコン利用者は、素人であるかマニアであるか、そのどちらかだった。パソコンを使いこなしたければ、マニアになりたくなくてもマニアになる必要があった。

 何かがおかしいと思った。「マニアでもないし、マニアにもなりたくない利用者に対し、普通の言葉で分かりやすく説明する方法があるべき」という意見を持つようになった。これがぼくの原点だと思う。

 個人的には「これから本格的なIT時代がやってくる」と読んでいた。普通の人間が日常的にITに接する時代、言いかえれば「ITの民主化」時代の到来だ。自宅でも仕事場でもパソコンを使わざるを得ないけれども、パソコンマニアにはなりたくないと思う人が爆発的に増える――こう考えた。

 ここに潜在需要があると思い、WSJの編集局長に「パーソナルテクノロジー」のアイデアを売り込んだ。

――先見の明があったわけですね。

1
nextpage



underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事