食べないで痩せるという発想は大間違い!
抗肥満薬の安易な仕様に要注意


 ある女性の1日の食事が1800キロカロリーとして、約4日間断食してやっと1kgの脂肪と同じエネルギー量、(約7000キロカロリー)に相当する。

【HBR会員誌2011年3月号「ダイエットの極意」より】

TOPIC1 食べないで痩せるという発想は大間違い

 ある女性の1日の食事が1800キロカロリーとして、約4日間断食してやっと1kgの脂肪と同じエネルギー量、(約7000キロカロリー)に相当する。だが一方で、『1週間で3kg・5kg痩せる』とうたうダイエット法も存在する。なぜそんなことが可能かといえば、

「脂肪ではなく、水分が減るからです。人間の体は約7割が水でできていますが、無理な食事制限で急激に体重を減らそうとすると、体内の糖質の量が少なくなり利尿作用が働きます。つまり、水分が減った重みの分だけ、体重が落ちます。これをみな"痩せた"と錯覚している」と語るのは東京逓信病院副院長兼内科部長 宮崎滋先生。

 ある程度体重が落ちても、通常の食生活に戻れば水分が戻って体重も逆戻り。単に食事を減らせば痩せる、食事を摂ると太るというのは大きな誤解で、食事と一緒に水分が出たり、入ったりしただけのこと。脂肪が減ったり増えたりしているわけではないのだ。 

 しかも、「急な食事制限をすると、タンパク質がエネルギー源として分解されるようになり、筋肉量が減ってしまいます。結果、代謝が低下して、太りやすい体質に。そこで元の食事に戻せば、以前よりも太ってしまう。これがいわゆるリバウンド。食べないダイエットは、体の"痩せる力"を自ら落としているのです」(宮崎先生) 

 無理なダイエットで筋肉や骨のタンパク質を取り崩すことによる弊害は、骨粗鬆症の発症率とも関係する。将来、歩けなくなる可能性がないとはいえないのだ。

TOPIC2 抗肥満薬の安易な使用に注意!

 最近、「肥満外来」という言葉を耳にすることが増えており、肥満の治療も多様化している。

 そんななかで注意したい点がある、というのは水道橋メディカルクリニック院長 砂山聡先生。

「特に注意していただきたいのが、抗肥満薬の使用です。大学病院、内科系の肥満外来では通常はほとんど使用しません。ただ特殊外来、美容皮膚科、美容外科などでは処方されるケースもあるようです。 

 日本で認可されている抗肥満薬は1種類です。マジンドール(商品名サノレックス)という食欲抑制剤です。しかし服用しても減量効果は体重の5〜8%と言われ、速効性はありますが、劇的な効果があるわけではありません。

 また長期にわたる使用は副作用のリスクも伴い、重度の肥満の方以外には、私はおすすめできません。欧米でも認可されている抗肥満薬は数種類と少なく、認可のハードルは高くなる傾向にあります。

 2010 年に日本で2例目の抗肥満薬(ジブトラミン)が、メーカーにより申請取り下げになりました。ヨーロッパでは10年ほど前に発売した薬だったのですが、副作用の事例が問題視され、発売中止になったためです。心臓病などの合併症を発症するリスクがあるというのが、大きな理由のようです。ですので、くれぐれも抗肥満薬の安易な使用は避けていただきたいと思います」

 と砂山先生はアドバイスする。

【取材協力者プロフィール】
東京逓信病院副院長兼内科部長 宮崎滋先生
東京医科歯科大学医学部卒業。医学博士。同大第一内科、都立墨東病院内科を経て、1976年より東京逓信病院内科勤務。専門は、肥満症、糖尿病治療。『健康診断で中性脂肪値が高めの人が読む本』(幻冬舎)、『メタボリックシンドローム教室-Q&Aでわかる療養指導』(中外医学社)など、ダイエット、メタボリックシンドローム関連の著書も多数。

水道橋メディカルクリニック院長 砂山聡先生
医学博士 順天堂大学医学部卒業。同大学医学部助手、順天堂医院健康スポーツ室、順天堂大学医学部講師などを経て、2005年に生活習慣病や肥満にも対応可能な水道橋メディカルクリニックを開設。専門は循環器内科学。著作は『循環器と病気のしくみ』、『肥満症診療ハンドブック』など多数。

取材・文/及川夕子
引用:HBR会員誌2011年3月号p8、p19

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