復興も進まず、原発事故収束の見通しも立たない
「震災3ヵ月」混迷する政治への忸怩たる思い

とにかく、民主党がしっかりしてもらうほかはない

 大震災から3ヵ月が経った。復旧・復興への歩みは遅々としており、原発事故収束の見通しも立たず、被災地からは悲嘆の声が聞こえてくる。そして、永田町の政治の混迷が厳しく批判されている。政治家として忸怩たる思いである。

 統治の責任は、国民によって権力を託された政権党にある。とにかく、民主党がしっかりしてもらうほかはない。野党とて必要な協力は惜しまないが、いかんせん権限がない。国会で政府の方針を監視して、建設的提言を行うのが精一杯である。与党から野党に転じた国会議員は、その無力さ、そして政権交代の重みを身にしみて感じている。

 「急流で馬を乗り換えるな」というのも正しいが、「この急流だからこそ馬を替えねばならない」というのもまた正論である。震災以来の菅首相の対応を見ていると、後者の説をとらざるをえない。内閣不信任案否決以降も、退陣時期について、来年1月、8月、明日でもとか、言を左右している。これでは、国民の信頼を集めることはできまい。

 国会対策もまた稚拙である。民主党は、参議院の復興特別委員会の委員長に、不適切な発言で昨年11月に法相を辞任した柳田稔氏をあてることを決めた。

「法務大臣は二つのことだけを覚えていればよい」という彼の言葉は人々の記憶に新しいものであり、問責寸前で辞任した人物を重要な震災復興の特別委員長に任命する神経が理解できない。国会対策以前の常識の問題である。

 この問題に典型的に表れているように、民主党政権は、この2年間、国会対策を軽視してきたと言わざるをえない。政策も重要であるが、それを実現させるための政治技術もまた不可欠なのである。

 要は、ねじれ国会での対応である。私は、安倍、福田、麻生の三首相に閣僚として仕えたが、このときも衆参のねじれが問題であった。国会対策とは、ねじれ対策なのである。

 まず第一歩は、衆議院で三分の二を確保することである。

 われわれのときは、その三分の二を持っていたので、テロ特別措置法の改正などは、参議院で否決されても、衆議院での三分の二の再可決という手で法案を通していった。しかし、民主党政権は、社民党が閣外に去って以来、三分の二確保ができないでいる。

いったん国会を閉じるべきだ

 第二は参議院で多数派を形成することである。

 そのためには、公明党の協力をとりつけることが手っ取り早い。しかも、公明党と民主党は、政策の面で多くの共通点がある。しかし、公明党の神経を逆なですることはあっても、選挙制度改革などで公明党に譲歩する姿勢は見せなかった。そのため、むしろ公明党を自民党から分断するどころか、両者の絆を深めてしまった。

 そして、第三は、野党の主張に耳を傾けることである。

 法案の修正協議に応じたりすれば、道は開けるものである。野党の主張のほうが正しい場合もある。野党を単に多数派形成のための将棋の駒と見なすのではなく、真摯に対応する必要がある。私が厚生労働大臣であったときには、野党の意見を相当に取り入れた政策運営を行ったものである。

 以上のような基本的な政治技術も駆使しないで、いきなり大連立といっても筋が通らない。まさに政権担当能力を欠いた民主党執行部と大臣病患者の自民党幹部の野合である。震災対応以外にも、外交、社会保障と難問が山積であり、これらの分野で政策の違いを残したままの大連立は無理である。

 今週は、復興基本法が参議院で審議される。その委員長候補に柳田氏を立てるところからして間違っており、異例の委員長選挙となった。この法律ができあがるまでが菅首相の仕事であり、これ以上権力の座にしがみつくのは許されない。

 会期末は6月22日である。いったん国会を閉じて、民主党は新しいリーダーを選び、その上で与野党協力できる体制を組んでいくことが望ましい。小沢・反小沢の軸でしか動いてこなかった民主党政権のツケはあまりにも重い。

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