中国人民元 世界支配の「陰謀と恐怖」
コンフィデンシャル・レポート
日本人よ、目を覚ませ

 世界市場が不況に喘ぐなか、躍進を続ける中国経済。人民元の弾力化を認めることで、この国は「世界の工場」から「世界の発信基地」への脱皮を図ろうとしている。中国のしたたかな金融戦略の内側に迫る---。

「第2の日本」にはならない

「アメリカとはいずれ、"3つの戦争"が不可避になると見ている。食糧戦争、エネルギー戦争、そして通貨戦争だ。いずれもわが国が、アジアナンバー1の座に就くことが、アメリカとの覇権争いの第一歩となる。中国は今年、日本を抜き去って世界第2の経済大国となるが、いまだ通貨大国とはなっていない。
  そこで欧米経済が沈滞しているこの好機に、人民元の国際化を加速させ、まずは日本円を凌駕して『アジアの国際通貨』の地位を目指す。これが当面の国家戦略だ」

 こう明かすのは、中国国務院(中央官庁)の高位の経済官僚だ。北京・西城区の金融街や、上海・浦東新区の陸家嘴の金融関係者たちの間ではいま、「人民元の国際化」が話題にならない日はない---。

 6月20日、日本の朝刊各紙の一面に、「人民元 切り上げへ」の見出しが躍った。突然ふってわいてきた話のように見えるが、それは一昨年末からすでに始まっていた。

 世界的な金融危機が勃発し、アメリカのドル一極支配体制が揺らいできたこの時期、中国が人民元の国際化の方針を初めて明確に打ち出したのだ。ワシントンで開かれた第1回目のG20(主要国サミット)の席で、胡錦濤国家主席が、

「世界はドル一極支配体制から、多元的な国際通貨の時代へと変貌を遂げるべきだ」

 と発言。事実上の「人民元国際化宣言」を行ったのである。

 冒頭の中国の経済官僚が続ける。

「胡主席の発言を受けて、中国人民銀行(中国の中央銀行)の中に密かに、『人民元国際化研究課題組』という十数名の専門家グループが発足した。このグループが取り組んだ最初の研究テーマは、『なぜ日本円はアジア共通通貨になり得なかったのか』だった」

 '97年のアジア通貨危機の時、マレーシアのマハティール首相が、日本円を中心としたアジア共通通貨を提唱した。だが皮肉なことに、この構想に一番強烈に反対したのが、当の日本だった、と同官僚は続ける。

「日本は円の国際化を目指さず、あくまでも米ドルの傘の下での経済活動を選択し、その結果、アメリカにいいように利用されて没落していった。だから中国は、"第2の日本"には絶対にならない。そう決意したところから、人民元の国際化が始まったのだ」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら