みんなの党「10議席獲得」で「ねじれ国会」はマーケットの好材料になる
9議席と10議席ではまったく違った! 

 参院選は、大方の事前予想どおり与党が過半数にとどかなかった。

 これで、(1)「ねじれ」が生じた。これは3年前、安倍政権のときに与党が参院選で敗北したのと同様なことが攻守ところを変えて起こったといえる。

 当然のごとく、(2)民主党内の責任問題が出てくる。その結果、菅直人政権を中心とする反小沢軍勢と親小沢の対立がおきる。ただ、あまり知られていないことであるが、菅政権もそれほど一枚岩ではない。 菅政権の実態は、仙谷由人官房長官・枝野幸男幹事長と菅総理の複合体だ。そこで、(3)仙谷・枝野対菅の争いもある。

 自民党も一応は勝ったことになるので、当面は(4)谷垣体制の継続である。新しくできた少数政党は、みんなの党以外は存続が怪しくなる。いずれにどこかに吸収され消滅するだろう。

 みんなの党は大躍進である。これで第3極はみんなの党が軸になることで決まりだ。みんなの党は、 「アジェンダの党」といい、政策の中身が持ち味であるので、(5)国会で対案をドンドンだしてくるだろう。

 以上、今回の参院選に よって、(1)~(5)が起こるわけであるが、それぞれ政治的・経済的にどのような意味があるだろうか。

 (1)ねじれとなれば、予算議決は衆議院優越であるので関係ないが、法律案は与党が事実上通せなくなる。このうち重要なのは予算関連法案である。

 予算は予算案だけでは不十分であり、予算関連法案の成立が必要である。例えば、赤字公債なしでは予算が組めないため、特例公債法が必要となる。しかし特例公債法を参議院が否決すれば予算は回らなくなる。となると、与党は、先の国会のように強行採決を連発できなくなる。菅総理もいうように「丁寧な国会運営」ということにならざるをえない。

 ということは、野党が対案を出せば、それが通りやすくなるということだ。すぐに臨時国会になるが、参議院議長をはじめとして、菅政権がどのような国会運営をするかが注目される。江田参議院議長の先の国会での運営はあまりに強引だったために、野党はかなり反発しているだろう。

 一般的に、ねじれは政策実行を困難にするので、マーケットにとっては政策不在でマイナス要因である。ところが、菅政権は「増税すれば景気がよくなる」と か、経済オンチ政権だ。それが止むのであれば、むしろマーケットにとって悪くないという自虐的な見方もできるかもしれない。

有権者が迫られる「究極の選択」

 (2)菅政権の責任問題はやっかいだ。

 菅総理は自らを含めて続投を表明している。ただし、今回の参院選の敗因は菅総理の消費税発言であることは明白だ。続投ですんなりいくとは思えない。弁護士の郷原信郎さんによれば、小沢案件の検察審査会の補助弁護士が今はいないという。となると、当分、小沢案件での検察審査会の結論はでない。

 もともとこの件は裁判になっても無罪にある可能性がある。親小沢陣営は9月の代表選まで反小沢派の分裂工作を含め、猛烈にしかけてくるはずだ。となると、今のところ反小沢で共闘している菅政権内の(3)仙谷・枝野対菅の争いが浮かび上がるかもしれない。

 そうなると、菅政権は連立どころの話ではなく、ぐちゃぐちゃの内ゲバ状態になる。

 菅政権の弱点は、政治的に反小沢というまっとうなことを言っているが、経済的には、「増税すれば景気が良くなる」、「デフレギャップを解消するとマイナスである」、「金利を上げれば景気が良くなる」とめちゃくちゃなことだ。

 一方、親小沢勢力は、政治手法はデタラメだが、経済的には案外まともだ。この究極の選択に有権者は迷ってしまうだろう。

 自民党は、(4)谷垣体制の続投で、対岸の火事を見物する気分だろう。ただし、このつかの間の勝利は、長期的には勝ちにならない。政権奪取ができるのは衆院選である。なまじ今回小さな勝ちを拾ったために、総裁人事を含めた体制の抜本改革が遅れ、衆院選では勝てない確率が高くなったと私はみている。

 そうこうしているうちに、民主党内の内ゲバの影響を受けるだろう。民主党内は今回の総括という意味で消費税が対立軸になる。菅政権としては、小沢氏がかつて仕掛けた「大連立」を再現することが勝利への戦略になる。いずれ消費税の協議法案などが提案され、自民党内にも手を突っ込んでくるだろう。それは 9月の民主党代表選にかけての話だが。

 こうした政治的カオス状態の中、今回の参院選でみんなの党はキャスティングボートを握った。みんなの党は、比例区7人、選挙区3人の計10人を獲得した。

 実は、9人と10人では大きな差がある。国会法の規定から、参議院で法案提出できるのは、提案者に加えて、他に10名が必要だからだ。みんなの党は非改選1人(川田龍平参議院議員)なので、この11名のハードルをクリアできた。

 開票直後の渡辺喜美代表へのマスコミのインタビューをみると、みんなの党が民主党と連立するかどうかという質問ばかりをしていた。しかしこんな質問を繰り返すのは、政治記者が従来のパターンしか知らないからだ。

 従来は、少数政党が自らの意見を通そうとする場合に、与党と連立協定や協力協定を組んでいた。これは少数政党では自ら法案作成能力がないため、与党になって官僚を使い内閣提出法案にしてい たのである。

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