民主党惨敗! 菅直人政権は「予算と税制」国会で行き詰まる
与党大幅過半数割れで連立は崩壊状態

 菅直人政権が参院選で敗北した。連立与党が参院で過半数を握れなかった以上、菅政権は連立組み替えか政策ごとに多数派を形成する道を模索せざるをえない。

 前者の連立組み替えについては、大きく議席を伸ばした自民党はもとより、みんなの党や公明党の第三極も民主党との連立を否定している。となると、後者の政策ごとの合意しか選択肢が残されていない。

 ところが、政策ごとの合意とは言うは易く、実行は難しい。

 たとえば公務員制度改革一つとっても、民主党は昨年の総選挙で国家公務員総人件費の2割削減を公約しながら、定員削減にも給与削減にも後ろ向きだ。それでは、たとえば自民党やみんなの党は合意できない。

 消費税は民主党だけでなく、自民党も引き上げに前向きだが、ばらまき色が濃い政権公約(マニフェスト)の修正が大前提と主張している。

 菅政権は政策ごとに協力できそうな野党がないわけではないが、ある政策で協力できそうな野党が見つかったところで、別の政策では反対に回ってしまう。きわめて不安定な政権運営を迫られることになる。

 その一方、民主党内では小沢一郎前幹事長が率いる小沢グループが菅政権に対して距離を置いている。小沢グループからは、枝野幸男幹事長の更迭論も公然と飛び出した。菅首相は自らの足元が固まらないまま、野党と政策合意を求めざるをえない。

 そんな状況で野党が政策合意を急ぐ理由はないので、菅政権は野党との交渉で主導権を握れない。強気を装っていても、窮地に陥っているのは政権の側である。

 それどころか、菅政権は実態として、もはや連立政権にさえなっていないとも言える。

 国民新党が連立にとどまっている最大の理由は郵政民営化見直し法案を秋の臨時国会で成立させるためだ。ところが与党の大幅過半数割れに直面し、いまや社民党を加えたとしても成立は絶望的である。

 それなら、国民新党は与党にとどまっている理由がどこにあるのだろうか。重要政策を実現できず、消費税引き上げに反対するなら、野党に身を置くのが筋ではないか。

 言い換えれば、形の上では連立している国民新党でさえ、実態は民主党と郵政改革見直しで「政策合意」しているにすぎない。菅政権が郵政民営化見直し法案をあきらめて国会に再提出しないなら、国民新党はあっという間に連立から離脱するだろう。

 菅政権はもはや、これまでのように強権を発動して政権を運営できない。一方、野党も拒否権を握ったものの、やはり思うようには政策を実現できない。与野党のだれもが主導権を発揮できないのだ。

勝者なき「永田町の漂流」はいつまで続くのか

 永田町は勝者なき「真の漂流状態」に突入した。

 こういう状態がいつまで続くだろうか。

 締め切りはある。2011年度予算編成と消費税を含む税制改正を決める年末である。

 予算と税制には政策のすべてが盛り込まれている。そこで与野党合意ができなければ、菅政権は確実に行き詰まる。11年通常国会で衆院多数によって予算案を成立させられても、税制改正法案と特例公債法案を参院で可決成立できないので、金庫に納めるカネ(税金と借金)を調達できない。

 消費税引き上げも遠のいた。

 消費税を引き上げるには、法案成立から実施まで少なくとも2年はかかる。一方、平均で2年半に一度は国政選挙があるので、仮に今回、菅政権が参院で勝利し、消費税引き上げを強引に決めたとしても、いずれにせよ実施までには(あるいは実施直後には)再び選挙の洗礼を受けることになる可能性が高かった。

 そう考えれば、国民の納得感を得ないまま消費税を引き上げるのは無理なのだ。

 国民に大きな負担を求める本格増税で、もっとも重要な鍵を握るのは政権への信頼である。「この政権なら消費税の扱いを任せてもいい」と国民が考えるような政権であるかどうか、なのだ。

 信頼を育むのは、あくまで改革の実績だ。

 政党が官僚天下り問題や国会改革で手抜きしながら、財務官僚の言いなりになって増税を訴えるのは自殺行為である。そこを菅政権も野党も今回選挙の教訓とすべきだ。

 (文中敬称略)

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