「輿石参議院議長」で小沢一郎封じ込めを狙う菅トロイカ執行部
代表選前に内閣改造も

 泣いても笑っても、あと1日で第22回参院選挙である。選挙結果によっては、夏以降秋にかけて「波乱政局」となる。

 そうは言っても、与党・民主党は改選議席54を多少割り込むだけですみ、野党第1党の自民党も改選議席38を多少伸ばし、40台前半程度に留まるという見方は強い。すなわち、民主、自民両党とともに勝者になれず、そして敗者でもないということになる。

 それは直ちに参院選後、政局に焦点が移るということだ。7月下旬に特別国会が召集され、選出された参院議員の議席が指定される。同時に、参院議長選出が行われ、現議長の江田五月氏同様に参院第1党の民主党から新議長が選ばれる。

 では、誰が次期参院議長の有力候補なのか。菅直人首相、仙谷由人官房長官、枝野幸男民主党幹事長の新トロイカ体制は、前回コラムに書いたように、今参院選挙で再選確実な輿石東・参院議員会長(山梨選挙区)を推す腹積もりである。

 そして後任の参院議員会長に、やはり再選が確定的な千葉景子法相(神奈川選挙区)か北澤俊美防衛相(長野選挙区)のいずれかの起用を考えている。言ってしまえば、輿石氏の参院議長への棚上げである。

 もちろん、輿石氏本人は、いますぐではなくとも参院議長への意欲を隠さない。

 もしそうなれば、残る任期6年の後半3年間に同職を務め上げ、その後、晴れて従二位・桐花大綬章(旧勲一等旭日桐花大綬章)を受勲することになる。労組出身国会議員としては初めての名誉である。

 輿石氏が議長就任を受託すれば、仮に盟友の小沢一郎前幹事長が9月の代表選前後に離党・新党結成に踏み切ったとしても行動をともにしないということになる。菅首相らの新トロイカ体制は当然ながら、それを見込んでの「輿石参院議長」案を構想しているのだ。

 それだけではない。参院議員会長に「非小沢」の千葉、北澤氏のいずれかを起用したうえで、今期限りで引退する「親小沢」の高嶋良充参院幹事長の後任に直島正行経済産業相を据える。さらに「親小沢」の平田健二参院国対委員長も代えて、小沢氏のパワーの源泉である民主党参院執行部の一新を図ろうとしている。

 小沢側近から盛んに流されている『「親菅」と「反菅」との9月決戦』説を7月末の参院議長人事を契機に封じ込めようというものだ。

 小沢氏も新トロイカ側が企図していることを承知している。だからこそ、長野選挙区の現職の北澤氏に次いで2人目候補に小沢氏主導で擁立した高島陽子候補当選に全力投球しているのだ。

言わば、"北澤落とし"の分裂選挙をやってきたのである。総力戦をもってしても高島氏が当選できなければ、選挙に強いという「小沢神話」に陰りが生じるだけではない。

内閣改造人事で小沢グループ切り崩しも

 参院執行部人事を断行するとなれば、参院議員会長、参院幹事長候補に名前が挙がっている千葉、北澤、直島の各氏は全員現職閣僚である。ということは、参院議長人事をトリガー(引き金)として、菅首相は内閣改造に踏み切るということでもある。

 本格政権の立ち上げは代表選挙直前と考えているはずだが、閣僚の一部入れ替えが必要となる。これまた小沢グループ切り崩しに使うはずだ。

 具体的には党内では鳩山(由紀夫前首相)グループに所属するが、小沢氏にも太いパイプを持つ海江田万里衆院財務金融委員長を直島経産相の後任に、また北澤防衛相の後任には長島昭久大臣政務官を昇格させ、小沢直系の「一新会」に所属する吉良洲司外務大臣政務官をその後任に起用する。

 あるいは千葉法相の後任に加藤公一副大臣を昇格させ、その後任にやはり小沢直系の階猛・総務大臣政務官を起用するといった案が、早くも官邸サイドで密かに囁かれている。

 新トロイカによる"小沢封殺"が奏功するかどうかは、いつにかかって選挙結果次第である。こうした見立ても、菅民主党が最低でも50議席以上、叶うのであれば54議席に届いた場合に初めて実現できるのである。共同通信社の選挙戦終盤の情勢調査では、民主党は選挙区で33+7、-4、比例で16±1という予測が出ている。そう簡単ではない。

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