毎日フォーラム~毎日新聞社

政府、地震・津波対策を抜本的見直し
[防災計画]中央防災会議専門調査会が秋までに方向性

2011年06月29日(水) 毎日フォーラム
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 東日本大震災の発生を受けて政府の中央防災会議(会長・菅直人首相)がこのほど、被害状況などを分析して今後の対策を検討する「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」を設置した。

 秋ごろまでに方向性を定め、国の防災基本計画に反映させるなど、国の地震・津波対策を抜本的に見直す方針だ。これにより、既に個別に地震対策大綱が作られている東海、東南海・南海、首都直下地震など5地震の対策も見直される公算が大きい。

 中央防災会議は、首相をはじめとする全閣僚、指定公共機関の代表者、学識経験者などによって構成されている。防災基本計画の作成や、防災に関する重要事項の審議などを行うのが役割で、甚大な被害が考えられる地震については、同会議で作成する防災基本計画で、あらかじめ地震対策大綱を作って備えるとされている。これに基づいて、東海▽東南海・南海▽首都直下▽日本海溝・千島海溝周辺海溝型▽中部圏・近畿圏直下――の五つの地震対策大綱がある。

 それぞれの対策大綱は、中央防災会議が設置した専門調査会が出した被害想定などをベースに、03~09年にかけて作り上げられた。大綱に基づいて、国や地方自治体は、津波対策の推進、広域防災体制の確立、耐震化など予防対策の推進などの地震対策を実施している。ただ、専門調査会が出す被害想定は、過去に当該地域で発生した最も規模の大きな地震と同規模の地震が起こったと仮定して出しているため、想定している地震の規模は最大でもマグニチュード(M)8クラスだ。

 しかし、3月11日に発生した東日本大震災の地震の規模は、国内で過去に例がなく、世界でも五指に入る規模のM9・0。東北太平洋沿岸を襲った津波は、過去の明治三陸地震や昭和三陸地震などを基に想定した津波高をはるかに上回っていた。高さだけでなく、浸水域も想像以上。

 東北太平洋沿岸の自治体のほとんどが震災前に津波ハザードマップを作っていたが、実際の浸水範囲はハザードマップの浸水範囲を大きく上回った。浸水面積は岩手、宮城、福島の3県で約500平方キロメートルにもなった。

 国の地震調査委員会の阿部勝征委員長(東京大名誉教授)は「宮城県沖から南の茨城県沖まで個別の領域について、地震動や津波について評価していた。複数領域が連動して発生する地震は想定外だった」と述べ、東京大地震研究所の佐竹健治教授も「個々の地震は予測されていたが、全部が連動することは予想されていなかった」と話した。

 過去に何度も津波に襲われ、国内で最も津波対策が進んでいると考えられた地域の惨状にショックを受けた専門家も少なくなかった。

 想定されている地震より規模の大きな地震が発生する可能性があるとなると、もう一度地震対策を考え直す必要性が出てくる。その方向性を決めるのが、新しく設置した専門調査会だ。専門調査会のメンバーは座長の河田恵昭・関西大社会安全学部長、阿部勝征・地震調査委委員長、津波に詳しい今村文彦・東北大大学院教授など学者のほか、泉田裕彦・新潟県知事、野田武則・岩手県釜石市長など行政関係者ら全部で17人。

 5月28日に東京都千代田区で「今回の地震・津波被害の基本認識について」を議題に、第1回の会合を開いた。

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