利権をめぐるテレビと携帯の全面戦争(後編)
電波はいったい誰のためにあるのか

無線コンサルタントのDarrin Mylet氏は「85%から99%の電波は利用されていない」と言い切る。(2009年eComm会議で筆者撮影)

ニューヨークで発生したスペクトラム・クランチ

 まずは、前回の話を簡単に振り返ってみよう。

 2009年頃、"このままでは6年後にスペクトラム・クランチがやってくる" とCTIA(米携帯事業者協会)は騒ぎ立て、より多くの電波を提供するよう連邦政府に訴えた。このスペクトラム・クランチ(周波数逼迫問題)とは、急増するモバイル・ブロードバンドの利用量が、ネットワークの伝送量を上回る状況をさす。

 携帯最大手のAT&Tは2009年から2010年にかけて、サンフランシスコやニューヨーク市街で小規模なスペクトラム・クランチに陥った。当時AT&TはiPhoneの独占販売をおこなっていたこともあり、アップル・ユーザーから「ネットワークが遅い」「なかなか繋がらない」といったクレームが同社に殺到した。

 特にニューヨーク市街はひどく、連邦通信委員会(FCC)も懸念を示したため、AT&Tは緊急対策として基地局の増設だけでなく、周波数の追加をおこなって危機的状況を脱した。

 ちなみに、2011年春から業界2位のベライゾン・ワイヤレスもiPhone、iPadなどの販売を開始している。同社は、周波数逼迫がなく、カバレッジ・エリアが広いことで知られている。そのベライゾンでさえ、今年に入り3Gデータ網のトラフィック量が急増し、Wi-Fiホットスポットなどの迂回策をユーザーに呼びかけるなど、その対策に奔走している。

 こうして携帯業界では、周波数逼迫問題が大きな不安材料となっている。

 一方、2009年当時、FCCとオバマ大統領は、ブロードバンドで経済成長を促す"National Broadband Plan(全米ブロードバンド計画)"の立案をおこなっており、携帯業界が主張するスペクトラム・クランチに注目した。オバマ大統領は、ネットワーク中立性問題でネット業界の人気を失っており、モバイル・ブロードバンド整備は人気回復の格好のテーマだった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら