7月11日参院選開票日の夜から「民主党自壊政局」は動き出す
底割れ寸前の日経平均と足並みを揃え

 参院選投開票日が迫ってきた。各種世論調査によれば、民主党の単独過半数はもとより、国民新党と合わせた連立与党でも過半数の確保は難しそうだ。

 となると、菅直人政権は衆議院で与党多数を維持しながら、参院で多数を失う「ねじれ状態」に直面し、否応なく連立の組み替えを迫られる。ところが、実際には組み替えはきわめて困難になりつつある。

 肝心の民主党内で小沢一郎前幹事長と菅内閣を支える反小沢派の対立が決定的になり、公明党やみんなの党など組み替え相手に擬せられる第三極勢力は、民主党の党内抗争が決着するまで模様眺めに徹するに違いないからだ。

 公明党やみんなの党自身がすでに、政策の不一致を理由に連立には参加しない方針を表明している。政策論を別にして政局論で考えても、いまや両党があわてて民主党の連立呼びかけに応じる理由はない。小沢グループ離党の可能性すらささやかれる中、菅政権の先行きがどうなるか分からず、そんな不安定な政権と手を握るメリットがないからだ。

 連立を離脱した社民党や自民党、たちあがれ日本、新党改革など他の野党にとっても、事情は同じだ。菅政権は過半数割れに直面して各党に連立参加を呼びかけざるをえないが、野党にすれば「うちに話を持ってくる前に、自分の足元を心配すれば」と冷ややかに追い返すだけで十分なのだ。

 民主党が参院選で敗北するなら、その大きな理由は言うまでもなく、菅首相が言い出して枝野幸男幹事長や仙谷由人官房長官らが全面支援した消費税引き上げ論である。枝野に「(増税批判は)無責任な大衆迎合」とまで言われた小沢が敗北後に黙っているわけもなく、民主党の党内抗争は激しくなりこそすれ、収まる道理がない。

 野党は双方の抗争が激化して民主党の自壊を待つのが、当面の共通戦略になる。

 この抗争には締め切り時間が設定されている。9月の民主党代表選だ。もしも代表選がなく、抗争がエンドレスになる可能性があるなら、民主党側が野党の一部に手を突っ込んで、敵の分裂を誘う戦略も有効だろう。「味方同士で内ゲバするより、敵の一部を取り込めば、双方が生き残れるじゃないか」という話である。

 だが、野党は「民主党の内ゲバは9月の代表選が天王山」と分かっているから、途中段階で誘いに乗る必要がない。自分たちが決断するのは、敵の内部抗争が峠を越す9月を過ぎてからで十分なのだ。

 9月までには抗争が党外に波紋を広げて、小沢派と反小沢派がそれぞれ水面下で独自に動いて野党との連携を目指す動きも当然、ありうる。

2週間で時計の針は大きく進んだ

 かつて小沢は新生党時代に細川護煕連立政権が崩壊した後、自民党の派閥領袖の一人だった渡辺美智雄前副総理兼外相(渡辺喜美みんなの党代表の父)を総理候補に担ぎ出そうとした過去もある(結果として失敗したが)。今回も何が起きてもおかしくない。

 かくて、政局の焦点はもはや「連立組み替え」ではない。民主党の小沢と反小沢派による党内抗争の行方である。ここが決着するまでは、なにごとも始まらない。逆に言えば、民主党の党内抗争から永田町の流動化がいよいよ本格化するのだ。

 私は6月25日付けコラム(参院選挙後の菅政権を待ちかまえる「増税国会」の難局 単独過半数を握らなければ早晩行き詰まる)で「菅首相にとって本当の正念場は参院選後である」と指摘し、増税法案を閣議決定する年末がヤマ場になるという見方を示した。

 わずか2週間で時計の針は一挙に早まってしまった。

 株式市場では「あす株価が下がる」と思えば、その日のうちに下がり始める。市場参加者は明日の株価を織り込んで、きょう売るからだ。「政局の株式市場化」が進んでいる。「年末がヤマ場」という見方が広がると、年末どころか、今日直ちに浮き足だってくるのだ。

 そこで先の「年末政局」という見方を修正する。連立政権の敗北予想、小沢との対立激化によって、もはや政局を小康状態にとどめておく要素が消えてしまった。永田町はあたかも雪崩が起きる直前の積雪斜面のようだ。年末を待たず、7月11日の投開票日直後から政局は一挙に流動化する可能性が高い。

 (文中敬称略)

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