平泉、小笠原諸島が登録の見通し [世界遺産]今月下旬にユネスコ委員会が正式決定へ

2011年06月11日(土) 毎日フォーラム
upperline

 中尊寺金色堂をはじめとする日本の「黄金文化」は、13世紀に「当方見聞録」を著したマルコ・ポーロが日本を「黄金の国ジパング」と紹介したことにつながり、後に欧州の航海家がアジアに目を向けるきっかけになったとされる。

被災地の復興に希望

 東日本大震災で被災した岩手県では、世界遺産登録の勧告という久しぶりの明るいニュースに沸き、復興への機運を高めると歓迎されている。文化庁によると、震災による構成資産への被害はほとんどなかったという。達増拓也知事は「平泉は戦乱から東北が復興する中心だったという歴史的経緯があり、今回の災害からの復興の象徴になる。国際的に評価され復興を力強く進めていくことの励みになる」と述べた。

 また、震災で落ち込んだ観光客が回復することも期待される。平泉観光協会の小野寺邦夫会長は「震災で大打撃を受け、明るい話題のなかった東北地方にとって、起死回生の光明となった。日本の元気を取り戻すためにも、世界遺産登録によって平泉から光を発していきたい」とコメントした。

太平洋に浮かぶ小笠原諸島の南島(手前)と父島=07年4月

 小笠原諸島は南北約400キロにわたって大小約30の島々が連なっている。候補地は、自衛隊基地がある硫黄島などを除く陸域6360ヘクタールと海域1580ヘクタールの計7940ヘクタール。日本列島から約1000キロ離れており、どの島も一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島で、独自の生態系を有する自然の宝庫だ。太古にたどり着いた生物が種の枝分かれをしながら世代をつないだ「進化の実験場」に例えられた。江戸時代後期まで無人島だったこともあり、生物は開発から免れた。

 海洋島の自然遺産では、ガラパゴス諸島(エクアドル)やハワイ島(米国)が知られているが、登録件数増に伴って審査が厳格化している中で、先行組との差別化が求められていた。そこで、主に南米由来の生物が残るガラパゴス諸島に対して、小笠原諸島は日本列島やオセアニア、東南アジアなど多様な起源を持つ生物が混在するという地理的な特性を強調した。「東洋のガラパゴス」としての価値を世界が認めたことになる。

次ページ  課題は人や物の移動に伴う外来…
前へ 1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事