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早分かり! 「人民元と中国経済」のこれから
知らないと損する

 日本経済はいまや中国頼み。中国がくしゃみをすれば、日本は風邪をひくどころか、肺炎にかかる。今回の人民元の引き上げ。いったい、何が始まろうとしているのか---。

1ドル=5元時代がやってくる

「外国人客が全体の6割を占める中で、中国から来られるお客さまはその1割程度なのですが、2~3年前から徐々に増えています。

 中国の方は口コミを頼りにホテルを選ぶ傾向が強いので、現在、スタッフの中国語教育を拡充・強化しているところです。また、チェックアウトの時、記念にホテルのパンフレットを持って帰る方も多いので、今後は中国語のパンフレットの種類を新たに増やす予定です」

 京王プラザホテル(東京・新宿区)の企画広報部がこう話すように、ホテル業界は今、大量の中国人観光客を迎え入れるための体制作りを急ピッチで進めている。中国の中央銀行「中国人民銀行」による人民元の切り上げが始まり、今後、割安感を追い風に日本を訪れる中国人観光客の大幅増加が、見込めるからだ。

 もちろん、この人民元高の影響が及ぶのは、ホテル業界にとどまらない。物価の上昇など、われわれの日常生活を大きく変化させるだけでなく、世界経済の勢力図を大幅に塗り替える可能性すら、秘めているのだ。

 「切り上げ」初日の6月21日、前週終値より0.45%高い1ドル=6.7958元まで上昇し、'05年7月の為替制度改革以来、最高値を更新した。

「人民元は'05年7月に2%切り上げられたあと、1ドル=8.2元から6.8元まで元高が進みました。ところが、ここ2年間は6.83元にほぼ固定化されていた。そこで、米国はかねてから中国に対し、人民元が安すぎると主張していたのです」
(大和総研チーフ為替ストラテジスト・亀岡裕次氏)

 そんな中、6月19日、中国人民銀行が「人民元相場の弾力性を高める」方針を示したことで、再び元高へと動き始めた。亀岡氏が続ける。

「'11年後半から'12年にかけて、中国は株などの証券投資について、自由化する方向を打ち出しています。そうなれば、為替だけを固定化しておくことは不可能です。金利を上げるなどの金融政策も行っていかなければならない。
  結果、通貨も高くなる。ですから、資本取引が自由化されれば、為替も管理相場から変動相場に近い形になっていくでしょう。今後は元高がさらに進み、1ドル=5元ぐらいになると思います」

 これに対し、日興コーディアル証券国際市場分析部のエコノミスト・矢部和代氏は、
「中国国内の輸出企業の負担が急激に増えるのを防ぐため、年内に2~3%、さらに来年もう3%程度と、ゆるやかに元高が進む」
  と予測している。

 いずれにせよ、冒頭で触れたように、元高になればまず中国から日本への観光客が増えることになる。

「現在も、銀座でブランド品を買いあさり、秋葉原の家電量販店で電化製品を買い求める中国人の姿が多く見受けられますが、元高になればさらに割安感が出るので、その傾向はますます強まるでしょう」(ライフカウンセラー・紀平正幸氏)

 不況にあえぐ日本企業にとっては、ありがたい話だが、マーケットには次のような意見があるのも事実だ。元高になれば中国企業の輸出競争力は低下し、世界経済を牽引する中国の成長に翳りが出るのではないか。そもそも、中国は本当に高度成長を続けることができるのか---。

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